◆第25号2007年7月1日

コミュニケーションはテクニックではない!

 

最近、管理者セミナーで必ずといっていいほど、「部下との人間関係」に関する相談があります。上司との人間関係で悩む部下の話もよく耳にしますが、同じように、上司は部下との人間関係で悩んでいるのです。立場上、その悩みを会社では相談できずに悩んでいるというケースが多いようです。
「人間関係」の問題になると、しばしばコミュニケーション論になってしまうことが多いのですが、この問題はテクニック論や技術論では片付けてはいけないと思います。昔はよく、「ニコって笑ってポンと肩をたたき雑談する「ニコポン」が、部下の管理手法の代名詞でしたが、今では時代遅れもはなはだしいばかりか、最も嫌われるやり方かもしれません。「ニコポン上司」は部下から好感と信頼を勝ち取るどころか、部下との人間関係を悪くするばかりです。その根本原因は、人間関係を良くするテクニックとしてコミュニケーションを捉えるからです。部下に対する「愛」がない、「関心」がないままテクニックとして使うからなのではないでしょうか?「愛」があれば、「関心」があれば部下の話に耳を傾けて、もっと部下を観察することが多くなるはずです。今の上司は「業績」「成果」にばかり関心がいって、部下そのものに対して関心が薄いのです。「業績」「成果」を上げるのは部下であるという本質を忘れているように思います。
もう1点大きなギャップは、世代によって、コミュニケーションの取り方が変わってきていることです。多くの上司は、コミにケーションの取り方が、過去の延長線で、酒を飲みながら話をするノミニケーションが、部下とコミュニケーションが最も図れるものと錯覚しています。「一杯やりながら、色々と話し合おう」と言って部下を誘いますが、価値観や趣味・興味が違えば、お互いが心を開いて話し合うことは非常に難しいものです。ほとんどの上司は、部下の話をロクに聞きもせず、一方的に上司が喋りまくり、叱咤激励や説教になったりするのです。部下は嫌々付き合っていることはいざ知らず、上司の方はこれで上手くいっていると勘違いをしていることが多いのです。ここに大きなギャップが生じています。コミュニケーションのポイントは、何もノミニケーションというスタイルではなくとも、普段から部下の話を一生懸命に聞いてあげるかどうかです。まずは部下に対して、仕事でもプライベートでも「関心」を持つことから始めてください。
何度もいますが、人間関係はけっしてコミュニケーション技術の問題で片付けてはいけません。コミュニケーション理論通り、マニュアル通りにやればよいというものではないことは自明の理です。昔の「ニコポン上司」が上手くいったのは、上司と部下は師弟関係にあり、「愛」があったからです。テクニックとしてやるニコポンは、やるだけ逆効果になります。部下との人間関係をよくするためには、「愛」以外のなにものでもないと私は信じています。部下を育てよう、部下を幸せにしてあげようという「愛」があれば、その気持ちは必ず伝わります。部下は上司の奴隷でも雑用係でもありません。「愛」などというと、キレイ事のように聞こえるでしょうが、今、世の中で一番求められていることは「愛」だといっても過言ではありません。「愛」という言葉が重いようでしたら、「真心」「思いやり」「気配り」という言葉に置き換えられます。これからの時代は上司が部下に「真心」「思いやり」「気配り」を持つ時代です。これまでは部下が上司に気遣いをしてきた時代でしたから、180度発想を変えなければなりません。変革とは主権が入れ替わることを意味します。変革の時代は、上ばかりに気を遣うヒラメ上司ではこれからは生き残っていけません。目先の業績を上げるだけではなく、部下がイキイキとして働ける職場をつくり、部下一人ひとりが充実した人生が送れるよう育成していくことに上司の仕事のウェイトが移ります。部下と深い人間関係で結ばれることで、上司も豊かで楽しい人生になることでしょう。
◆第22号2007年6月17日

「報・連・相」の基本は挨拶にある

 
先日、顧問先の幹部から「うちの部下はなかなか「報・連・相」をしてこないのですが、いい指導法はありませんか」と相談を受けました。こういう場合は、職場内の人間関係が悪かったり、コミュニケーションが少ないことに原因があります。最近は特に、内線電話、携帯電話やEメールでのコミュニケーションが増えてきたこともあり、部下と対面でコミュニケーションをとる機会が少なくなってきました。さらに、上司もプレイングマネージャーで部下とかかわる時間が以前に比べ少なくなってきています。たとえ接する時間があっても「報・連・相」をしたくなる上司がいないのも大きな問題です。いつも忙しそうで、イライラしている上司には、部下は話し掛けにくいし、「報・連・相」もやりにくいものです。このように、部下とのコミュニケーション不足から、信頼関係が薄れ、「報・連・相」が上手く機能しなくなっているのです。
「報・連・相」を活発にするためには、まずは上司が話しかけやすい雰囲気をつくることから始めてください。コミュニケーションの第一歩は挨拶することからです。上司の方々は、自らすすんで部下に挨拶をしているでしょうか?こちらから大きな声で元気よく挨拶をすることで、部下は心を開き、話しやすくなるのです。「おはよう」「よろしく」「ありがとう」の挨拶には、部下に対しての感謝の気持ちが込められています。挨拶は「知らない人との人間関係を作る」ためと考えがちですが、むしろ部下との連帯意識を確認したり、部下との人間関係を改善する効果があります。
あなたは上司として部下に挨拶ができているか、チェックしてみてください。
 
1.自分から部下に明るく「おはよう」と言っていますか?
2.いつも笑顔でキビキビとした態度で挨拶をしていますか?
3.先に退社する時、部下に一声かけてから帰っていますか?
4.会社に電話をかけた時、部下に「お疲れさま」と言ってねぎらっていますか?
5.部下からの報告が終わった後、「ありがとう」「ご苦労さま」と言っていますか?
6・部下に仕事を指示した後、「頼むよ」「頑張ってね」と声をかけていますか?
7.部下を待たせてしまった時、「お待たせいたして申し訳ない」と言っていますか?
8.廊下や階段で部下とすれ違った時、「お疲れさま」と言っていますか?
9.部下を叱った後は、上司から声をかけていますか?
10.自分から積極的に部下に話かけていますか?
 
上司から明るく挨拶をするだけで、会社のムードが変わり、部下に感謝する気持ちを持つことで、部下との連帯感を強め、コミュニケーションが活発になります。この連帯意識の向上により、部下からの「報・連・相」も徐々に改善されていくのです。たとえば、上司が部下を厳しく叱責した後は、お互いに嫌な雰囲気になりますが、上司の方から明るく声をかければ、上司も部下も気持を切り替えることができるものです。このように挨拶が意思疎通、コミュニケーションの改善を図り、職場に「報・連・相」を気軽に行える雰囲気ができあがってきます。「報・連・相」のやり方を部下に教える前に、まずは、上司であるあなたがキチンと挨拶をし、部下とのコミュニケーションをとり、信頼関係をつくることが重要ではないでしょうか?
◆第22号2007年6月10日

部下をやる気にさせる「誉め方」

 
先日、ある社長様にお会いしましたら、「先週のブログ“上手な叱り方”勉強になりました」と言って頂きました。「次は、“上手な誉め方”を教えてください」とご要望がありましたので、今回は「誉め方」を取り上げます。最近の若手社員は、「冷めている」「忍耐力がない」と良く言われますが、管理者が部下の仕事に対するやる気・意欲を上手く引き出せていないからではないでしょうか。部下にとって最大の環境は上司である管理者です。管理者次第でやる気にもなったり、辞めたくなったりするものです。部下をやる気にさせるには、部下全員を公平に扱い、正しい評価の基準を持って、叱るべき時には叱る、誉めるべき時にキチンと誉めることが大切です。しかし、現場で「誉める」を実践しようとしても、こんなレベルでは誉められないという自分基準で部下を見たり、優秀な部下と比べたり、また自分たちの時代は叱られて育ってきたところもあり、なかなか誉めることができない管理者が多いようです。その社長様も「部下の誉めるところなんてないです」と部下の欠点ばかりを指摘していました。でも本当にそうでしょうか?その社長様に「本当に部下のことをよく見ていますか?」と伺いましたら、さほど部下を見ていないですし、部下と話し合いもしていないようでした。部下がよい成果とは何か理解できるように、基準を確立し、それを明確にはっきりと伝えることが大切です。よい業績だけでなく、すばらしい努力も誉めるようにすること。部下の視点から仕事を見るようにすれば、誉めるところがたくさん見えてきます。そして、部下への期待とその評価について定期的に話し合うことが必要でしょう。このように、管理者次第で部下のやる気が変わり、会社・組織の業績が激変します。
上手な誉め方チェックリストをまとめてみましたので、できているかチェックしてみてください。
 
●チェックリスト
1.部下の良いところ、長所を見つけようと意識しているか
2.良いところに気づいたらその場ですぐに誉めているか
3.どこがいいのかを具体的に誉めているか
4.事実を素直に誉めているか
5.誉めた行動がいかに有益であるかを一言いっているか
6.握手したり、肩をたたいたりして誉めているか
7.誉めた後の自分の気持ちを素直に言っているか
8.さらに「頑張ろう」と激励しているか
9.人前で誉めているか
10. 照れずに誉めているか
 
先週の上手な叱り方に引き続き、誉めるということも難しいという人は、部下をしっかり見ていない、部下を評価する基準がない、部下とその基準を共有していないことに原因があります。普段から、部下をしっかり観察する習慣をつけていかなければなりませんが、誉めること、叱ることが目的にならないようにして下さい。誉めること、叱ることの目的は、部下を教育することです。部下教育で重要なことは、「『教』が『育』を超えてはならない」ということです。誉める時も叱る時も、すぐに答えをだしてしまうことや何でも教えてしまうことは、部下が自分で考える努力を奪うことです。本人が持っている素晴らしい素養を「育む(引っ張りだしてあげる)」ように、管理者は部下が自ら育つ意欲を高めるために、誉めることや叱ることを行うのではないでしょうか。
◆第21号2007年6月3日

部下をやる気にさせる「叱り方」

先日、ブログの読者から、「部下を上手に叱る方法を教えてください」というご質問がありました。最近、叱ることのできる上司が少なくなったと言われています。叱ることができない上司が多いのは、怒らない人が増えてきているからではないでしょうか。私は、怒らないから叱れないという感じがしてなりません。上司としての想いが熱くないから、怒るほど腹が立たないのかもしれません。最近の上司は、優しすぎます。部下に嫌われたくないから、部下に対して嫌なことが言えなくなっているのでしょう。本質は、部下に対して冷めているというか、しらけているというか、部下に対して愛情を持っていないからです。「物わかりのいい上司」になってはいけません。上司は部下に対して愛情を持たなければなりません。部下に関心を持つから怒るし、愛情があるから叱るのです。
ここで考えなければならないのは、「叱る」と「怒る」は似ているようでまったく違うということです。「怒る」とは、ただ感情を表に出しただけで、愛情のある行為ではありません。愛情がなければ、叱ることはできないものです。「叱る」とは、怒っている感情を理性で抑え、教育の視点に立って、部下の非や責を改めさせるために指導をすることです。しかし、「怒る」という感情を使ったほうが部下の心にズシッと響いて行動が変わることもあります。何よりも大切なことは、上司は部下に愛情をもって、部下を常に見てあげることが必要です。部下をよく見て、叱るべきときに、人間性を攻撃せずに、仕事のミスや行為を叱ることが大切です。
上手な叱り方チェックリストをまとめてみましたので、ぜひチェックしてみてください。
●チェックリスト
  1 部下に対する関心は強いか
  2 感情的にならず冷静に叱っているか
  3 事実に基づいて叱っているか
  4 部下の間違いやミスに気づいたらすぐに叱っているか
  5 間違いやミスを具体的に指摘して叱っているか
  6 くどくどと説教せずに、簡明に叱っているか
  7 相手をよく見て叱っているか
  8 叱った後の自分の気持ちを素直に述べているか
  9 人間性に触れずその言動に限定して叱っているか
 10 叱ったらそれでおしまい、一件落着という気持ちになっているか
いかがだったでしょうか。理屈ではわかったとはいえ、叱るということはなかなか難しいものです。多くの場合、自分では叱っているつもりでも、部下は怒られていると感じていたりします。チェックリスト通りに叱っても、部下に対して、一人前に育ってほしいという愛情がなければ、ただの口うるさい上司でしかありません。上司の愛情が伝わったとき、上司と部下の人間関係は本物になります。愛情を持った上司こそ、本当の意味で部下を動かせる上司だと思いませんか
◆第20号2007年5月27日

部下が求める上司像と社長が求める上司像

 
先日、ある居酒屋で、横に座っているサラリーマンが、「部長はその時の感情で怒るからたまらないよ」「あんな態度じゃ報告しにくいよ」と上司の悪口を大きな声で言っていました。しかも、「まぁ、課長には何を言ってもムダだな」とも言っており、私は愕然としました。会社、組織では、上司と部下の信頼関係が最も重要です。上司は親身になって部下の報告を聞いて、相談に乗り、仕事のアドバイスや指示を与える役割です。また、ミスをした時は、感情的に怒鳴るのではなく、部下の成長を考えて叱らなければなりません。
先日の週間ダイヤモンドの記事に2007年度「理想の上司」のランキングが載っていました。理想の上司№1は、星野仙一氏です。「厳しさの中に、きちんとした評価をしてくれる」「親身になって考えてくれ、正しい決断をしてくれる」という理由で選ばれているように、上司はいかに厳しくとも、部下をキチン見て評価してくれる上司を求めているのではないでしょうか。
ここで、逆説的に、社長が求める上司像はどのようなものか考えてみましょう。 
1.経営者の視点から全体を広く見る能力を持っている
2.経営者を理解し、その心を部下に伝え、徹底させることにより成果をあげる
3.自分の考えを持ち、自己主張ができる
4.計画を達成する責任感を持っている
5.部下の指導・育成ができる
6.部下のやる気を高めることができる
7.部門内、関係部署とコミュニケーションを図る
8.前向きで積極的にチャレンジする行動力を持っている
9.業務に必要な専門知識を身につけている
10.チームを統率・指導するリーダーシップがある
11.創造力を発揮して、改善・改革を図っていく
12.自己啓発に努め、幅の広い人間を目指している    など・・・
 
上司は、経営者の方針や考え方を理解し、それを現場に徹底させていく、組織の要です。部下に対しては、ミスをした時は叱り、成功した時は誉める、当たり前の事を当たり前にさせる指導力です。このように、社長から期待される上司像は、部下から期待される上司像と同じだと気づいていただけましたでしょうか。上司は部下に居酒屋で愚痴られているようではいけません。部下に夢を与え、部下から尊敬される上司を目指してください。
◆第19号 2007年5月20日

外国人と仕事することが当たり前になる

 
最近、コンビニエンスストアのレジやファミリーレストラン、居酒屋などで、外国人労働者を良く見かけます。コンビニや外食産業は、若者が就業してくれないから、外国人を雇わざるをえないのです。現在、外国人労働者は80万人くらいいると言われています。人口の減少や少子高齢化、団塊の世代の退職、新卒採用難などの影響を受け、2010年から労働力人口は年間85万人ずつ減っていきますから、外国人労働者が増加することは間違いありません。ある経済予測では、2050年までに2000万人の外国人労働者の移民を受けいれる必要があると言われています。
政府も国内の労働力不足を補うために、短期で外国人労働者を受け入れる新たな制度を作る方向に動いています。しかしながら、低賃金や劣悪な環境で働かされるなどの問題が起きています。「研修制度」を廃止するとともに、国内の労働力不足を補うために、短期で外国人労働者を受け入れる新たな制度を作るべきだと思います。受け入れ先を大企業から中小企業にも拡大したり、管理職への登用を認める方向に行くでしょう。そうすれば、新卒を採用できない中小零細企業は、外国人労働者をどんどん雇っていくのではないでしょうか。
今後グローバル化がさらに進み、M&Aが増加すれば、外国企業で働く、上司が外国人になることも当たり前になってきます。日産自動車にカルロスゴーン社長がいたように。日本人はグローバルスタンダードや外国企業の価値観も理解しなければなりません。このように外国人労働者が増えるとともに、外資が入ってくることにより、文化の違い、価値観の違い、マネジメントの違いでいろいろな問題が起こってくることが想定できます。言葉や文化の壁、価値観の壁を乗り越えて、トップの考え方を外国人から指導されることもあるし、外国人に指導していくことも出てきます。
もはや、日本人はグローバルスタンダードに従わざるを得ません。日本的経営の良さが失われていくことは大変心苦しいことですが、大きな流れには逆らえないことも事実です。日本企業、日本人にとって、大きな転換期にあるように感じます。
しかし、どのような変化があろうと、企業経営として一番大切なことは、「企業がどの方向に向っていくのか?」「企業のビジョンや目標は何なのか?」を社員全員に浸透させ、全社一丸となって同じ方向を目指すことです。企業を「川」の流れに例えると、どの方向に行くのかということが、企業のビジョンや目標、トップの夢であります。それを具体的にしたものが、社是や理念、経営目標などです。川の流れる方向に全社員が泳いでいることが、企業の成長、存続に繋がります。川の流れの方向と違う方向に泳いでいる社員は、すぐに方向転換させなければなりません。このように、外資が増え、外国人が増えれば理念や方針を徹底することがさらに難しくなることは間違いありません。
◆第18号 2007年5月13日

今こそ「環境人材」「環境経営」が求められている!

 
最近、環境問題がニュースや新聞で取り上げられることが多くなりました。オゾン層の破壊、酸性雨、熱帯雨林の減少、地球温暖化など、年々深刻さを増しています。皆さんは、環境を意識して日常生活や仕事をしているでしょうか?昨年、東京商工会議所は「環境社会検定試験(eco検定)」という資格をつくりました。環境問題はとても幅が広い分野ですが、環境問題を知る上での第一歩として、その基本的な知識を学ぶ制度がeco検定です。私も経営コンサルタントとして、環境に対する幅広い知識をもって、率先して環境問題に取り組む人材づくりと、環境と経営を両立させた環境経営の導入を指導していこうとこの資格を取得しました。学生や一般の方、企業にもお薦めできる資格ですのでぜひチャレンジしていただきたいものです。詳しくは http://www.eco-people.jp/
 環境対策は、余裕のある大企業だから取り組めることだと考える中小企業の経営者が多いようですが、これからは中小企業にとっても否応なく取り組むべき重要なテーマとなってきます。こうした中で、環境省はエコアクション21というガイドラインをつくり、中小企業でも容易に取り組めるシステムを推奨しています。これは、ISO14001規格をベースとしており、中小企業向け「環境経営システム」(環境マネジメントシステム)として、比較的容易、かつ効率的に取り組むことができるので、ぜひ知っていただきたいと思います。
詳しくは http://www.ea21.jp/
 さらに、地球温暖化防止のために、私たち市民もみんなで力を合わせて目標を達成しようとする「チーム・マイナス6%」というアクションプランがあります。これは、京都議定書が平成17年2月16日に発効したもので、温室効果ガス排出量6%の削減を実現するための国民的プロジェクトです。たとえば、買い物袋を遠慮することやエアコンを控えること、水や電気を節約することなど、私たちが身近にできることを推奨しています。
 このように環境問題への取り組みが、大企業のみならず社会全体で広がってきており、企業がCSR(企業の社会的責任)を果たしていくために欠かせない経営課題になってきています。中小企業といえども、社会に存在意義を示し、競争力を強化していくためには、環境問題に真剣に取り組まなければいけません。すぐにでも、①環境人材の育成 ②環境経営の導入 に取り組むことが必要です。コスト削減・生産性向上・品質向上・信頼度アップ・事業リスクの回避・会社のイメージ向上・社員の意識改革など多くの効果が見込めことに気づいていただきたいものです。まず、環境を意識した経営理念やビジョンの策定、環境に配慮した商品の企画や開発、電気の削減や環境を意識した原材料の見直しなどのコスト削減を行うことができます。まず身近なところから取り組むこうした環境経営への積極的な取り組みが、環境人材を育てる第一歩、環境経営の導入の足がかりになるのではないでしょうか。
◆第17号 2007年5月6日

他社の事故や不祥事を「他山の石」として何を学ぶのか?

 
最近、経営者が謝罪するニュースを良く見かけます。楽しいはずの5月5日こどもの日、大阪の千里万博公園の遊園地「エキスポランド」で、立ったまま乗る人気ジェットコースター「風神雷神2」が脱線して、1人が死亡、約20人がけがをするという痛ましい事故が起きました。記者会見では、「脱線車両の折れた車軸の金属疲労か、その加工に問題があったと思われる」とした上で、「解体検査は義務づけられているわけではなく、法令違反はなかった。検査を行っていても今回の事故が防げたかどうか分からない」と釈明していました。遊園地やテーマパークのアトラクションの事故は、概ね4つの原因に起因すると言われています。「製造のミス」「点検ミス」「審査ミス」「従業員のマニュアル違反」のいずれかで事故が起きるのです。毎年1回、2月ごろに車体を解体する詳細検査を実施していましたが、今年は、新アトラクション建設のため「スペースがなかった」との理由で解体せず、車軸を調べなかったようです。今回の事故は、目視の定期検査をしただけで、例年するはずだった解体検査を先送りにしたために起こった事故と言えます。特に、人が亡くなっている以上、解体検査や安全管理がおろそかになってしまったという言い訳は許されません。
ここ最近、新聞やテレビで企業の事故や不祥事の報道が絶えません。テレビ局のねつ造、保険会社の不払い、電力会社の隠蔽、湯沸かし器の一酸化炭素中毒事故など。このように事故や不祥事が発覚すると、企業のブランドイメージが失墜して、致命的な損害を被ります。最悪なケースは、企業が嘘やごまかしを並べて、イメージを自ら悪くしてしまうことです。このようなニュースを見て、みなさんは、「大変なことだ!」「決められたことをしていないからだ!」と他人事のように思っていないでしょか?「対岸の火事」としてではなく、「他山の石」「明日は我が身」として他社の事故や不祥事に学び、自社を再点検する機会にしなければいけないと思います。
大事故があった時、よく「ハインリッヒの法則」が引用されます。米国のハインリッヒという工業技師が、たくさんの労働災害事故を分析して見出した法則です。1つの重大事故の背後に29件の軽微な事故があり、さらにその背後には300件のヒヤッとしたり、ハッとしたりする異常が存在すると言われています。いつ起こるかわからない重大事故を未然に防ぐには、このヒヤッとしたり、ハッとした段階で、きちんと対処しておくことが大切です。早期発見、早期対応をしっかりと行なっていくためには、きちんとした点検や不具合や事故情報の共有化が欠かせません。ほんの小さな異常に気づくだけでも大きな事件、事故を防ぐことができるのです。
この事故を他山の石として見つめ、ハインリッヒの法則を踏まえて日頃の点検と修理, 些細な異常も見逃さないでその場で確実に処理することが、安全対策の基本です。
◆第16号 2007年4月29日

成功するM&A、失敗するM&A

 
最近、M&Aのニュースが多いと思いませんか?5月1日に三角合併が解禁されれば、どんどん外国企業が日本企業を買収しやすくなります。日本企業による国内外企業のM&Aも増えていますが、外国企業による日本企業のM&Aが、さらに増えることは間違いありません。今年は、大手企業や中小企業を含めると3000件を超えるのではないでしょうか。
M&Aが華々しくニュースになっていますが、実際、どれくらい成功しているかというと期待はずれのケースも多々あるようです。事業の相乗効果が出るどころか成長力を低下させてしまったり、従業員の融和ができずに社内が混乱するといった問題が起きています。一般的に50%以上のM&Aが失敗しているのではないかと言われています。買収によって価値を創出するどころか、価値を破壊してしまうリスクを伴うことも十分に覚悟しておく必要があります。失敗の2大原因は、戦略性の欠如と、M&A後の統合マネジメントの失敗にあります。合併後は、今までと違う「経営理念」「企業文化」で働いてきた社員が一緒に働くことで摩擦が生じることが問題になるのです。M&Aの成立後、社長の取り組むべき最優先課題は、企業文化を融合して新たな経営理念を浸透させていくことです。
合併新会社は、社長の信念、夢、理想、使命感、目標などを明確にして、「経営理念」「経営方針」を明文化し、現場に徹底することが何よりも重要です。また、会社の将来像はどうありたいのか、何のために存在しているのか、どうゆう目的を持って世の中に貢献するのか、どうゆうやり方で運営していくのかなど、しっかりとした基本の考えを明らかしなければなりません。M&Aの効果を最大限に発揮するためには、先ずこの「経営理念」「経営方針」を明確にすることが一番大切だと考えます。
日本電産は積極的なM&Aで有名な会社です。永守社長はM&Aを仕掛ける一番の理由は時間と技術を買うことだと言っていますが、もう一つ理由があるそうです。それは、「人が好き、会社が好き、部下が好きだから」ということです。それも世間では敗者と評価される人の闘争心に火をつけて勝者にしていく。倒れかかった会社の腐れかけた柱を新しくして立派なものに立て直す。自信とやる気を失いかけている部下を叱咤激励して夢と勇気を持たせる。このように人や会社、そして部下が大変身を遂げ、強くたくましくなっていく姿を眺めるのが、永守社長の最高の喜びであり、生きがいでもあるそうです。
このように、M&Aで成功する要因は、工場や資産が目的ではなく、人を活かすことだと言えます。「経営理念」「企業文化」「働く人の気持ち」について真剣に考えるか、そうでないかで、M&Aの成功・失敗の分かれ道になります。つまり、M&Aの真の価値は、“案件”そのものにあるのではなく、その後の融合化・モチベーションにかかっています。M&Aをする際は、「合併会社の存在意義は何なのか?」「合併会社は何を目指すのか?「どうすれば社員がイキイキ働くのか?」を十分に検討することが大切です。
◆第15号 2007年4月22日

新入社員に夢を語り、彼らに夢を与え、上司も一緒に成長しよう!

 

最近の新入社員の意識が大きく変わってきていることに驚かされます。バブル期に似た傾向が出てきているように思いますが、皆さんの会社の新入社員はいかがですか?先週4月20日の日経新聞に、日本能率協会による2007年度入社の新入社員意識調査が掲載されていました。上司の認識と新入社員の意識に大きなギャップが生じていることに気づいていますか?
① 今年の新入社員は実力主義よりも年功主義に魅力を感じている。(2001年の調査以来初めて逆転)
② 新入社員は、仕事を任せてもらって主体的に行動したいという願望よりも、人間的魅力を持つ上司・先輩に丁寧に指導してもらいたいという、受身の姿勢が強くなっている。
③ コミュニケーションが苦手な新入社員が増えており、上司や職場の人間関係のあり方に不安を抱えている。
④ 仕事優先の意識が薄れ、仕事とプライベートを両立させるワークライフバランスを意識している。
 詳しくは、この記事をご覧下さい。【社団法人日本能率協会 ニュース】
一番大きなミスマッチは、新入社員と上司が考える「理想の上司像」です。新入社員は、仕事でもプライベートでも人間的魅力を持っている上司に丁寧に指導をしてもらいたいと思っていますが、上司は、新入社員の意見・要望をよく聞きながら、仕事を任せて見守るという指導がいいと思っていることです。では、新入社員が「理想の上司像」で一番重視している「人間的な魅力」とは具体的にどのようなことでしょうか?今週は上司の人間的魅力について考えてみました。
   (1)仕事の夢・目標を持っている
   (2)「聞いていない」「知らない」を口実に責任を転嫁しない
   (3)高い専門能力を持っている
   (4)一緒に働き、遊び、飲む。部下の意見・考え方に耳を傾け、理解しようと努める
   (5)会社や他人の悪口を陰で言わない
   (6)部下のえこひいきをしない
   (7)秀でた趣味や幅広い教養を持っている
   (8)言行一致で約束を守る
   (9)プラス思考で積極的に生きている
   (10)部下に夢を与えることができる
今の新入社員は「夢を語れる上司」を求めています。キャリアやスキルアップよりも、「魅力的な上司」や「会社の理念や将来のビジョン」の方が彼らのモチベーションにつながります。つまり、上司が会社の魅力を語り、自分の夢を語り、彼らに夢を与えることが、人間的な魅力につながるのではないでしょうか。「魅力的な上司」になるために、彼らに何を教えなければならないのでしょうか?
(1) 会社の経営理念と創業者の哲学を説明し、この会社の存在意義は何なのか?
(2) 会社のビジョンや自分の夢を語り、彼らにどう育ってもらいたいのか?
(3) なぜ仕事をするのか?この仕事の目的は何か?
(4) 人間的に成長するためにはどうすればいいか?
(5) 人生において仕事をどう位置づけるか?
(6) どうすれば一流の人間になれるのか?
(7) 仕事とプライベートをどう両立すれば幸せになれるのか?
(8) 彼らのいいところを評価し、どのように活かすのか?
(9) 職場の人間関係をよくするためにはどう振舞うのか?
(10)どうすれば会社の中で評価されるのか?
以上のように、新入社員を育てるためには、上司は彼らに雑用をさせたり、マニュアルを教えるだけではなく、人生観とか仕事観、企業観を指導することが求められています。自らが生きる美学と人生の哲学を追求することにより人間的魅力を高め、新入社員から「理想の上司」と思われるように努力しましょう。上司は新入社員と一緒に自分も成長しようという考え方が何よりも必要です。
◆第14号 2007年4月15日

新入社員から尊敬される輝くリーダーになるために何が必要か?

 

新入社員が入社して早2週間経ちましたが、イキイキ元気にがんばっているでしょうか?
社会経済生産性本部の発表によりますと、今年の新入社員のタイプを「デイトレーダー型」と命名しています。どういうタイプかというと、「就職した会社とともに育っていこうとは考えず、常によい待遇、よい仕事を求めて『銘柄の乗り換え』(転職)をもくろむ傾向がある」と分析しています。つまり、1日に何回も株取引を行い、儲かる株に転々と投資するネット上の個人投資家のように、仕事や上司が気に入らなかったり、他にいい会社があれば、すぐに会社を辞めてしまうこともいとわないということです。
さて、リーダー・管理職の皆さんは、「デイトレーダー型」とも呼ばれる今年の新入社員の意識をどのように感じているでしょうか?アンケートによりますと、今年の新入社員は、「理念に共感できること」「社長や管理職が魅力的であること」を重視して会社を選んでいるそうです。実際、「デイトレーダー型」のような新入社員ばかりではないと思います。新入社員がすぐに会社を辞めてしまう真の原因は、受け入れ側の会社や管理職に問題があるように感じます。このような志の高い意識を持ち入社しているのに、会社の理念をキチンと教えないまま、スキル・知識ばかり教えて、成果や結果のみを求めるから、新入社員は早々と会社を辞めてしまうのです。
リーダー・管理職は、結果を出すことも大切ですが、「大きな夢と高い志」「大きな度量と人間力」「情熱と行動力」を持った魅力的な人間になることが大切です。新入社員の力を発揮させるためにも、リーダー・管理職自身が、自分を磨き、企業の柱として、情熱を持って仕事をしていかなければなりません。
今週は、リーダーシップとは何か?尊敬される輝くリーダーとは?について書いてみました。
 
(1)リーダーは企業の大黒柱である。(組織はすべてリーダー次第)
  1.リーダーにやる気があれば、やる気が部下に伝播してやる気集団ができる。
  2.リーダーが創造的であれば、部下の創造性を伸ばして創造的な集団ができる。
  3.リーダーの生産性が高ければ、部下の生産性も高まり効率的な部隊ができる。
(2)リーダーは変革者になること!
  1.課題とあるべき姿を明確化すること。
  2.企業風土を革新すること。
(3)リーダーは目標と方針を明確にすること。
  1.目標と方針は何かを明確にすること。
  2.部下の理解できる言葉で繰り返し、繰り返し訴え続けること。
(人間は忘れる動物である。反復しなければ1日で30%忘れ、2日で50%忘れる。)
(4)リーダーは部下を通して成果を確実に上げ続けること。
 1.仕事とは、部下一人ひとりの持てる能力とエネルギーを目標にむかって100%
    発揮させ、期日までに期待した成果を出してはじめて意味がある。
  2.そのためには、部下の能力をよく見極めて適材適所に配し、能力より少し高めの
    仕事を配分し、その進捗状況を管理・チェックし、仕事が確実にできるように部
    下を指導・育成し、やる気にさせてその能力を100%引き出すこと。
  3.部下を勇気づけ才能を伸ばす環境を作り、それをいかに持続させるかがポイント。
(5) リ−ダ−は徳性(人間)を磨くこと。
  1.正しい心(マインド)を持つこと。
    ・全ての物事に対して「肯定的に見、前向きに考え、積極的に行動する」こと。
    ・誠実、素直といった精神が人間を大きく育てるので大切にすること。
  2.正しい人間観を持つ。
    ・自分は不完全であるという自覚から滲み出る謙虚さを持つこと。
    ・不完全だから日々進化することを目指して生きること。
    ・人の役に立ち、世の中に貢献できる存在になること。
(6) リ−ダ−は「情熱なくして成功なし」と思うこと。
  1.成功と失敗は始めからあるのではない。成功するまで情熱を持ってやり続けた人
    だけが成功する。
  2.企業や人間が成功するか否かは、『能力×運×情熱』と言われている。いくら能力
    があっても情熱がなければ上手くいかない。「情熱」が最大のポイントである。
(7) リ−ダ−が良い笑顔を持ち、ネアカ人間であれば部下のやる気を引き出せる。
  1.リ−ダ−は良い笑顔を作ること。
  2.人間は笑顔のいい人のそばに自然と集まってくる。人が集まれば情報が集まり、
    知恵が集まる。だからますます成功へと近づく。
 
言うまでもなく、企業にとって最も重要なのは人材です。若く柔軟な発想と行動力を持った新入社員が、5年後、10年後に大きな戦力になります。管理職の方々は、今どきの新入社員は何を考えているのかわからないとぼやく前に、上記の役割と要件を満たし、新入社員から尊敬される輝くリーダーを目指しましょう。
◆第13号 2007年4月8日

新入社員が3年で辞めてしまう原因は管理職に問題がある

今年も新入社員研修の講師を担当させていただき、私自身の気持ちが大変フレッシュされました。自分の新入社員の頃を思い出すと同時に、彼らのビジネス人生の門出に大きな影響を与える重責を痛感しました。さらに、これからの日本の発展を担う大変貴重な人材であることに大いに期待をもってご指導しました。

しかし、最近、若手社員が定着をしないと相談されることが多くなりました。正社員として就職した若者が簡単に会社を辞めていくことが大問題になっています。「七五三現象」(入社3年以内の離職率は中卒で7割、高卒で5割、大卒で3割程度)が、どこの企業でも起こっています。私は、新入社員が辞めるか辞めないかは、管理職にかかっていると断言できます。中小企業であれば社長でしょう。
今の若手社員に聞いてみますと、「こんな先輩・こんな上司みたいになりたい」とあこがれる人が社内にいないと言います。私の新人時代(30年以上前)では、「自分も頑張って、部長のような人になりたい」「課長についていきます」などといった目標となる管理職がいました。しかし、最近では、「部長になんか、大変そうだしなりたくない」「管理職になったら、残業代つかないし、仕事が増えて面倒くさい」などと思う若手社員が増えています。
今後の教育は、即戦力ということで若手社員の教育も大切ですが、それよりも管理職(リーダー)を育てなくてはならないと思います。管理職は権限や地位でなく人間性が問われますし、若手社員にはテクニックやスキルを教えることよりも、経営理念や経営哲学を共有しなければ、社員と管理職、社員と会社の絆は生まれないと思います。管理職が信念と使命感を持って仕事に打ち込み、若手社員と経営理念と経営哲学を共有し、働く意味を教え、やりがいを与えることができなければ、社員は給料や仕事内容だけで会社を選び、いやになれば次々に転職していくことになりかねません。
今週は、若手社員が管理職やリーダーに対して、どのようなことを期待しているのか?について書いてみました。
 
1,仕事が良くできプロ意識が感じられる人(自分に厳しい)
2,仕事の目的をよく分からせてくれ、教える技術のうまい人
3,いつも気軽に相談に乗ってくれ、元気づけてくれる人
4,言ったことには、必ず責任を持ってくれる人
5,あまり無茶な要求をしない人
6,成長したら、必ずそれを誉めてくれる人
7,「マナ−」や「けじめ」を正しく指導してくれる人
8,言うこととやっていることが一致している人
9,物事に対する自分なりの判断基準を持っている人
10,明るく元気で素直な態度の人
11,欠点があってもどことなく人間味があって愛せる人
12,「叱る」、「誉める」の判断基準が明確な人
13,仕事だけではなく、秀でた趣味や幅広い教養のある人
14,将来のことや悩みなどについてアドバイスしてくれる人
15,自分の人生に夢や希望を持っている人 など。
 
全てを満足させることは難しいでしょうが、1つでも多く「YES」と答えられるようにならなければいけないのではないでしょうか。管理者は自分の得意なところをどんどん伸ばして、若手社員から「尊敬」される人物になっていただきたいものです。そうすれば若手社員がイキイキのびのび働き、会社はますます成長していくのではないでしょうか。
◆第12号 2007年4月1日

「経営者は経営の本質からずれていないか?」

 
10年以上にわたって経営コンサルタントをさせていただいていると、経営にとって何が最も大切かがわかってきます。アイデアや発想が良くても、商品力や営業力があっても業績が伸び悩む企業がいかに多いことか・・・まさに企業は経営者次第ということに気づかされます。ビジネスモデルや戦略、テクニックということも大切ですが、その根底を支える経営者の哲学や理念、使命感が、何よりも企業の長期的な成功を約束すると考えています。
企業が業績を上げるためには、競争に打ち勝たなければなりません。特に、資本主義の論理が崇拝されてきており、儲けることが目的になっている企業がなんと多いことか・・・最近の不祥事はそのことを象徴していると言えます。儲けること自体は悪くはないのですが、儲けるための戦術やテクニックに走るのではなく、まず思想や哲学、ロマンを確立して良いもの・サービス、良い人材づくり、お客様志向、社会貢献に取り組むことこそ、事業を成長し永続させる要諦と言いたい。
「一倉定の経営心得」(日本経営合理化協会)の中に、経営活動の本質について書かれています。皆様の何らかの参考になるとおもいますので、今日はそのエッセンスをご紹介します。
(1)会社の支配者
  会社の真の支配者は、お客様である。
(2)変化への対応
  事業経営とは、変転する市場と顧客の要求を見極め、これに合わせて我が社を作り替えることである。
(3)事業の成果
  事業の成果はお客様から得られる。
(4)好業績の原理
  社長たるもの、お客様の要求を満たすために、自ら先頭に立って、社内に混乱を巻き起こせ。
(5)業績不振の原因
  我が社の赤字は、お客様を忘れたのが原因である。
(6)社長の定位置
  社長の定位置は社長室ではない。お客様のところである。
(7)経営戦略とは
  経営戦略とは「戦わずして勝つ」あるいは「戦わずして優位に立つ」ための事業構造の変革であり、それによって自然に高収益を生むことが出来るような体制を実
  現することである。
(8)事業の定義づけ
  企業の定義づけは、その会社の事業を変えてしまう。
(9)集中の原理
  市場の全ての要求を満たそうとすると、全ての要求を満たせなくなる。お客様が望むのは、全ての品が揃っていることではなく、自分の買いたい品が豊富に揃っていることである。         (10)市場の多角化
  市場を多角化するということは、どの様な会社にとっても、優れた企業構造の一つの型である。
(11)理想的な経営構造
  理想的な経営構造は「工場を持たないメーカー」である
(12)環境整備
  環境整備こそ、全ての活動の原点である。
(13)最も優れた社員教育
  環境整備には、いかなる社員教育も、どんな道徳教育も足元にも及ばない。               (14)事業経営は戦い
  事業は学問でもなければ理論でもない。事業の存続を実現する戦いなのである。
 
 いかがですか?これこそ日本の経営者が追い求める「経営の道」であると思っています。私自身、経営コンサルタントの仕事を通して、クライアントの成長を支援して喜んでもらい、さらにクライアントが社会貢献することこそが自分の「使命」であり、「生きがい」であり、「誇り」です。
◆第11号 平成19年3月25日

経営者の仕事は、利益の出る仕組みを作り続けていくこと

 
バブル崩壊後、日本経済は十数年間停滞が続いてきましたが、ここ数年でデフレを脱却し日本経済は回復してきたと言えます。上場企業は、バブル時代を超える最高の利益を出しており、大企業全体として良くなっています。一方、地方経済や中堅・中小企業に目を向けると、なかなかそこまでいっていないのが現状です。最近の傾向としては、社会全体が二極化しているように、利益を出している黒字会社と赤字会社の二極化が益々進んでいます。しかしながら、中堅・中小企業はすべて負け組ではなく、黒字会社になるか、赤字会社になるかは経営者次第です。つまり、経営者が二極化していると思います。
経営者の信念、豊かな構想力とリーダーシップ、現状に満足しない将来ビジョン、今後の成長と利益を出す最適なビジネスモデル、経営資源の有効活用などにより、不利な条件を克服した経営者だけが勝ち組になれるのです。
勝ち組になりたいとすべての経営者はお思いでしょうが、次の3つのことに取り組むことが大切であると考えます。
 
(1)利益の出る仕組みを作り続けること
“利益はお客様の満足料である。”と考えています。そのためには、経営者は“お客様第一主義”でなければなりません。経営者は全力で、お客様が満足する商品やサービスを考え、その商品やサービスで利益の出る仕組みを考える必要があります。
利益が出なくなるということは、社会があなたの会社の商品やサービスはもう不要だと言われているのと同じです。いかに環境の変化や顧客ニーズの変化に対応していくかが顧客満足、利益確保につながるかを決定します。
 
(2)利益率を絶えずチェックし利益感覚を鋭くすること
売価をいくらにするのか?その時の粗利益率はいくらにするのか?は大変重要な問題です。会社の生死に関わる問題だからです。しかし、実際にはこの問題を独自で決めるわけにはいきません。業界の慣習、ブランド力、デザイン、機能、品質、アフターサービス、さらには全くの新製品であるかどうかなど、お客様のニーズによって異なってきます。
自社と他社とを比較し、この価格で売れるのか、かつ利益が得られるのかをよく検討しなければなりません。この時に利益感覚が鋭くなければこれで良いのか悪いのか、自社が今どうゆう状況にあるのかも分からなくなります。仕入先とお客様、自社の三者が納得する価格設定にするには、経営者としての利益感覚が大いに発揮される場面です。
 
(3)利益が出なくなってきたらどうするのか
卸売業や小売業では品揃えを考え直すことが大きなポイントになると思います。例えば、小売店であれば、一日のお客様の来店数や、どのようなお客様がどの時間に来店されるのかなどを調査し、お客様のニーズに合った品揃えを考えます。又、メーカーでは、それぞれどのような物が好まれるかを考え、絶えず新製品を開発していかなければなりません。
また、業態の開発、新規事業の開発、経営の多角化、時には事業転換などを図らなければならない時もあります。どうすれば利益を得ることができるか。そして勝ち残ることができるかを考えなければなりません。この仕事は経営者にしかできません。
今やこれまでの常識や経営手法は、通用しなくなってきています。今ほど経営者の舵取りが難しい時代はないといっても過言ではないでしょう。「勝ち組企業」になるためには、「お客様にとって価値ある企業」すなわち『価値組』企業となることが、これまで以上に重要になってくると思います。『価値組』企業のみが利益を確保できるということを肝に銘じていただきたい。
◆第10号 2007年3月18日

「プロフェッショナル人材」になる条件とは?

 
先週は、社員には3つのレベルがあることを書きました。新入社員は、レベル1の人材でありますが、この厳しい環境の中で企業も個人も勝ち抜いていくには、レベル3の目的を示せば行動できる人材、つまり「プロフェッショナル人材」にならなければなりません。
バブルがはじける前まで、多くの企業はゼネラリストを育成することに力を入れ、多くのサラリーマンもゼネラリストを目指したものです。しかし、バブルがはじけてリストラを進める過程において、企業は成果主義を導入し、終身雇用制度は崩壊していきました。そのため、人材の流動化が進むとともに、「プロフェッショナル志向」に転換する人が増えてきています。
プロのスキルを身につけ、成果を出せる人材の方が「自分の市場価値」が高いのに対し、その会社でしか通用しないゼネラリストになっても市場価値はあまり高くないものです。
今や「昇進」「出世」に価値観はなく、「市場価値」「キャリアアップ」が重要な価値観になっています。これからビジネスマンは、「経営的なセンスを発揮して、高い専門性を使って利益を生み出す企業内プロフェッショナル」を目指すべきであると思っています。
 そのための条件をご紹介します。
1.高い倫理観と熟練した知識とスキルを持ち、さらに上を目指している
2.自社の経営理念(社是・社訓)を良く理解し、自分の言葉で語ることが出来る
3.マクロ環境(政治・経済・社会・国際等)、業界の動向、競合先の戦略を把握し、自社にとって有利なものは直ぐに活用している
4.習慣や常識にとらわれない柔軟な発想をしている
5.経営的な視点から全体最適を考えている
6.会社にとって良いと思うことはどんどん提案し、行動に移している
7.自社の強み、長所を仕事に良く活かすようにしている
8.実行計画には、必ず優先順位をつけて実行している
9.部下の長所を活かして、挑戦的で前向きな取り組みができるように指導している
10.時間の有効活用を心がけ(無駄な時間の排除)効率的な活動をしている
11.門外漢の意見や素人の考えでも良いものは取り入れる
12.社外の人脈を作り、情報交換を行っている
 
上記のプロフェッショナル人材の条件にいくつ当てはまりましたでしょうか。しかし、一部のプロフェッショナル人材だけでは勝ち抜く組織にはなりません。社員一人ひとりが経営者の視点で判断できるプロフェッショナルな仕事をしなければ生き残っていけない時代になりました。プロフェッショナルとして、仕事に志と夢、そして誇りを持てるように社員教育を施し、自己啓発できる環境づくり、仕組みをつくっていくことが企業の競争力の源泉になることでしょう。
◆第9号 2007年3月11日

強い社員を育てるには「守・破・離」のプロセスで教育せよ!

 

業績回復・団塊世代の退職に備えて人材確保を急ぎ、大企業がこぞって新卒を大量採用しています。多くの中小企業はいい人材が採れないと嘆いていますが、私は、「いい人材を採る」のではなく、「いい人材に育てる」と考えています。
学生にとって売り手市場であることから、多くの企業で学生をお客様扱いするとともに、すぐに辞められては困るために厳しく教育をすることに躊躇しています。さらに、即戦力という掛け声の下に、研修期間が短くしてすぐに現場に配属する傾向が強くなっています。
入社の段階で経営理念を叩き込み、商品知識を徹底的に覚え込ませ、マナーを身につけさせる研修をしないから、大卒でも3年以内に4割近く辞めるという社会問題を引き起こしているのではないでしょうか?せっかく苦労して採った新入社員に辞められては時間とコストのロスになりかねません。
社員には、3つのレベルがあると私は考えています。
 
レベル1 1から10まで指示を出さないと行動できない人材
レベル2 目的とやり方をある程度指示すれば行動できる人材
レベル3 目的を示せば行動できる人材
 
新入社員は、このレベル1の人材であると考えています。学生から社会人になり、何もわかっていない新入社員には、徹底的に経営理念・商品知識、マナーや躾を叩き込まなければなりません。この基本が刷り込まれていない人は、レベル2やレベル3に上がっていくことはできません。どのような世界でも人が育つ過程は「守・破・離」というステップで進んでいくべきだと考えています。
先日、『勝てる組織を作る意識革命の方法』という本を読みました。著書の土田雅人氏は、「組織力を高める為には徹底して基礎の「型」に嵌めないといけない、基礎の方が出来上がったら「型」を超えて個人力を伸ばさなくてはいけない、そして組織力の基礎的な「型」と個人力を融合させ新しい「型」を作らなければいけない。」とおっしゃっております。
土田氏は、85年に同志社大学を卒業後サントリーに入社、ラグビー選手として活躍後2000年に監督に就任し、成績が低迷していたラグビー部を3年間で再生させ、常勝集団を作り上げたそうです。
日本古来の武道や茶道などの教えである「守・破・離」のプロセスを実行することで、どん底に落ちた組織でも見違えるほどに再生することができるということを実証した事例でしょう。
 新入社員の基礎は最初の2週間で決まります。間違っても新入社員の顔色を伺うようなことはしないでほしいものです。
◆第8号 2007年3月4日

不二家の不祥事から学ぶこと

 
不祥事が続いた不二家が菓子部門の生産を再開しました。「新しい不二家に生まれ変わります」という新聞広告や記者会見のメッセージを皆さんはどう受け止めましたか?
私は同族による長期ワンマン経営が、いんぺい体質など不祥事を引き起こしたと考えます。2002年の日本ハムの牛肉偽造事件、2006年のパロマ工業の湯沸器死亡事故なども同様の問題を抱えていました。不二家の創業者が「期限切れの材料を使ってお菓子を作れ!」とは決して言わなかったでしょう。子供たちに喜んでもらうために最高の品質を求めてお菓子を作っていたと思います。
しかし、長年、世襲制で経営者がどんどん変わっていくと、残念ながらそういう経営理念が現場まで伝わらず、このような事態を引き起こすまでになってしまうのでしょう。お客様のニーズやトレンドを反映して流行を取り入れた商品や店舗、メニューを開発・製造していかなければ、企業は生き残ってはいけません。しかし、いつの時代にも貫かれる経営の基本、経営理念があるはずです。不二家にとって絶対に変えてはいけないこと、貫かねばならないことは何でしょうか。それはお客さまの「安全」と「安心」、そして「信頼」です。こんな大不祥事を起こすまで気づかなかったとは・・・不二家にとって信頼を回復するには時間はかかることでしょう。
不易流行という言葉があります。これは、松尾芭蕉が「奥の細道」の旅の中で体得した俳諧の理念です。この意味は、物事には変えることのできないもの、変えてはならないものと、変えることのできるもの、変えるべきものがあるといことです。常に新しい流れをつくりながらも、基本を忘れないことの大切さは、俳諧に限らず事業や企業経営にも通じるものです。現在のような競争の激しい時代には、売上・利益至上主義に流されないで、創業の心を忘れてはならないと思います。 企業にとっての一番の「不易」といえば、この経営理念です。何のためにその企業が存在しているのか、その存在意義や使命感が企業理念のはずです。
  私は企業変革においては、2つの見極めが重要であると考えます。アメリカの神学者ラインホルト・ニーバーの言葉が大いに参考になりますから、ご紹介します。
「神よ、変えてはならないものを受け入れる冷静さと、変えるべきものを変えていく勇気と、変えることのできるものと、できないものを識別する智恵を、われらに与えたまえ」
 
変えてはならないものを受け入れる“冷静さ”、変えるべきものを変えていく“勇気”、変えてはならないものと、変えるべきものを識別する“智恵”をリーダーは持つべきです。一度、自社の変えてはならないものと、変えるべきものをじっくりと考えてみてはいかがでしょうか?
◆第7号 2007年2月25日
 
最近、セミナーや研修の受講者や、コンサルティングをしているクライアント企業の社長から、「今時の若者は直ぐに辞めてしまう」とご相談されます。「若者はなぜ3年で辞めてしまうのか?」という本も売れているようです。今まで経営コンサルタントとして多くの企業のお手伝いしてきて、若者が直ぐに辞めてしまう理由は、「尊敬」出来る人物がいないからだと、私は考えております。幹部や管理者、先輩社員が、「尊敬」される人物になれば、若者がすぐに辞めていく現象もなくなっていくでしょう。私自身も、これまでの人生で多くの方々から学ばせていただきました。今日は、私の人生を決定づけた人、尊敬する3人の恩師をご紹介いたします。
 
一人目は私の父(故)鋳方貞亮(関西大学名誉教授)です。父からは、自分の好きなことを徹底的にやる、そして、自己満足のレベルではなく、周りの人が「あなたはこの分野については凄いですね!」と言ってくれるレベルになること。そうなれば飯は食える(お金が入ってくる)。と教えられました。将来、何か自分の好きなこと、興味のあることを徹底的にやろうと思ったものです。
 
二人目は(故)中村天風先生です。残念ながら私はお会いしたことはありません。先生の「運命を拓く」(講談社)を読んだときにはすでに永眠されていました(昭和43年、92歳)しかし、この本が当時の私に与えた影響はとても大きかったことを鮮明に覚えています。私がそれまで色々と考えてきたことや疑問に思っていたことに一筋の光が差し込んだのを感じました。その後、「叡智のひびき」「真理のひびき」などを読み、今も時々読みかえしています。
 
三人目は芳村思風先生です。思風庵哲学研究所所長、名城大学講師をされておられます。先生の「感性論哲学」を初めて拝聴した時には、あまりの新鮮さと驚きで身震いしました。
その後、「感性論哲学の世界」「感性の時代」「いま感性は力」「人間の格」「21世紀の日本の使命」「時流独創の角塾経営」「人間観の革正」などを読みました。これらの本は、私の心の中に大きな影響と本物の人間を目指す意志を芽生えさせてくれました。
 
さて、幹部や管理職の皆様、「尊敬」される人物になっているでしょうか?私は能力や権力を行使することが幹部や管理職と思いません。まずは、自分の都合で物事を考えるのではなく、利他の精神で相手の立場に立って考えることがもっとも大切に思います。そして、「得」ではなく「徳」を積み、心を磨かなければいけないと考えます。今こそ、幹部・管理者は「物心共に豊かで良い人間」にならないと尊敬されることはないでしょう。
◆第6号 2007年2月18日

企業経営は、柔軟な見方が必要である

 

最近は、心理学などが脚光を浴びています。今週は、心理学から学ぶ企業経営について書いてみます。
心理学の一つゲシュタルト療法(Gestalt Tyerapy)について簡単に触れてみたいと思います。
ゲシュタルトとは部分にこだわり、意識を固着すると、全体の意味がつかめなくなり、人間の成長がストップするといわれることです。
すなわち、「図(自分の関心事)」と 「地(背景)」との関係で図(自分の関心事)に意識がいってしまうと他の見方がなかなかできない、全体を把握できなくなることです。
例えば、“ ルビンの盃”(盃にもみえるし、人間が二人向き合っているとも見える絵)や、“恐いおばーさんとむすめ”(魔法使いのおばあさんにも見えるし、可愛い娘さんにも見える絵)等を皆さんも今までに見られたことがあると思います…。
一般的に人間は、その絵を最初に見たときに盃に見えると、なかなか他の見方ができず、人間が二人向き合っているのに気がつかなかったり、気がつくのに時間がかかったりするのです
ゲシュタルトでは「図」と「地」を決めるのは自分であると考え、「地」に惑わされて
不幸になる要因を取り除こうとします。べき論や現状維持に固執せず、柔軟な態度になると色々な変化はストレスでなくなると考えるのです
図と地を固定して違った見方が出来ない人を‘石頭’‘頑固’といいます。
 厳しい経営環境の中で、過去の成功体験を金科玉条のように信じ、若い社員の意見や考えに耳をかさない経営者の方々?世の中は大きく変化しています。
企業経営においても、柔軟な見方が必要なのではないでしょうか?!
                        (ちょっと生意気だったかな?)
怖いおばあさんとむすめ.png
◆第5号 2007年2月11日
 
人間中心主義の経営が今後の日本的経営に必要だ! 
最近の新聞やテレビのニュースでは、M&Aやファンドなど米国型の資本の論理がどんどん日本に入ってきています。日本企業はアメリカ流の経営に大きく流れていって、株価や時価総額で評価し、会社や事業を売買するなど、「人」を軽視して、「お金」というものさしで見る傾向が強くなっているように思います。本来、企業は「人」で成り立っており、モノやサービスなどの価値を生み出すのは「人」ではないでしょうか?日本企業の強さであった「人財尊重、企業と社員の信頼の経営」が無くなってきているのではないかと思います。Japan as No.1と評価された人間中心主義の日本的経営はどこに行ってしまったのでしょうか?
今週は、これからの日本的経営について考えてみました。
 
1.グロ−バル化、情報化の流れは今後益々加速される。
2.米国式の経営システムをそのまま取り入れることは自殺行為であるが、米国式経
  営の良いところは取り入れるべきである。
3.アメリカ崇拝主義から脱却し、日本独自の経営システムでなければ上手くいかない。
4.それは人間中心主義の経営である。(株主や資本が最優先ではない)
5.人間中心主義と米国式を上手く融合させて独自のシステムを作り上げること
  ではないだろうか。
 
★具体的には
1.経営者は信念を持って明確な経営ビジョンを示し、それを実現させる明確な戦略
  を社員に示す。(経営者は自信・信念を持て!)
2.社員はそれを受けて、各自の目標を明確にし、その達成のために全力を尽くす。
3.人間性、自律性を尊重し、公正で透明な人事評価制度で成果主義賃金の実現を図る。
  いかにして社員を「やる気」にさせるかが課題
   ・優秀な人材が安心して働ける仕組み
   ・働きに応じた公正な処遇、給与システム
   ・教育システム(IT化、グローバル化に対応できるように)の確立
   ・高齢者のノウハウが企業で有効に活用できる仕組み 等…。
4.経営のIT化を推進し変化を先取りし、対応をスピ−ディ−に行う。(情報の共有化)
5.自社の強み(独自の商品・サ−ビス・技術など)に経営資源を集中させる。
6.社会貢献(CS、環境保全も含む)をする。
7.経営の継続・安定性確保のために、リスクマネ−ジメントの仕組みを経営に取り入れる。
8.合理性のあるグロ−バル・スタンダ−ド(ISO9000・14000、時価評価、連結決算な
  ど)は取り入れる。
9.自社に合うネットワ−ク型ビジネスを追求する。
10.売上高の追求(量)でなく、収益力の追求(質)に転換し、潰れない会社を目指す。
 
本物が求められる質の時代において、コンプライアンスやCSRが叫ばれています。ますます「人」が大切になってきます。お金や株価だけで企業の価値は図れません。人の価値、可能性に軸を移していく経営が求められると考えます。

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