◆第17号 2007年5月6日

他社の事故や不祥事を「他山の石」として何を学ぶのか?

 
最近、経営者が謝罪するニュースを良く見かけます。楽しいはずの5月5日こどもの日、大阪の千里万博公園の遊園地「エキスポランド」で、立ったまま乗る人気ジェットコースター「風神雷神2」が脱線して、1人が死亡、約20人がけがをするという痛ましい事故が起きました。記者会見では、「脱線車両の折れた車軸の金属疲労か、その加工に問題があったと思われる」とした上で、「解体検査は義務づけられているわけではなく、法令違反はなかった。検査を行っていても今回の事故が防げたかどうか分からない」と釈明していました。遊園地やテーマパークのアトラクションの事故は、概ね4つの原因に起因すると言われています。「製造のミス」「点検ミス」「審査ミス」「従業員のマニュアル違反」のいずれかで事故が起きるのです。毎年1回、2月ごろに車体を解体する詳細検査を実施していましたが、今年は、新アトラクション建設のため「スペースがなかった」との理由で解体せず、車軸を調べなかったようです。今回の事故は、目視の定期検査をしただけで、例年するはずだった解体検査を先送りにしたために起こった事故と言えます。特に、人が亡くなっている以上、解体検査や安全管理がおろそかになってしまったという言い訳は許されません。
ここ最近、新聞やテレビで企業の事故や不祥事の報道が絶えません。テレビ局のねつ造、保険会社の不払い、電力会社の隠蔽、湯沸かし器の一酸化炭素中毒事故など。このように事故や不祥事が発覚すると、企業のブランドイメージが失墜して、致命的な損害を被ります。最悪なケースは、企業が嘘やごまかしを並べて、イメージを自ら悪くしてしまうことです。このようなニュースを見て、みなさんは、「大変なことだ!」「決められたことをしていないからだ!」と他人事のように思っていないでしょか?「対岸の火事」としてではなく、「他山の石」「明日は我が身」として他社の事故や不祥事に学び、自社を再点検する機会にしなければいけないと思います。
大事故があった時、よく「ハインリッヒの法則」が引用されます。米国のハインリッヒという工業技師が、たくさんの労働災害事故を分析して見出した法則です。1つの重大事故の背後に29件の軽微な事故があり、さらにその背後には300件のヒヤッとしたり、ハッとしたりする異常が存在すると言われています。いつ起こるかわからない重大事故を未然に防ぐには、このヒヤッとしたり、ハッとした段階で、きちんと対処しておくことが大切です。早期発見、早期対応をしっかりと行なっていくためには、きちんとした点検や不具合や事故情報の共有化が欠かせません。ほんの小さな異常に気づくだけでも大きな事件、事故を防ぐことができるのです。
この事故を他山の石として見つめ、ハインリッヒの法則を踏まえて日頃の点検と修理, 些細な異常も見逃さないでその場で確実に処理することが、安全対策の基本です。

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