◆第16号 2007年4月29日

成功するM&A、失敗するM&A

 
最近、M&Aのニュースが多いと思いませんか?5月1日に三角合併が解禁されれば、どんどん外国企業が日本企業を買収しやすくなります。日本企業による国内外企業のM&Aも増えていますが、外国企業による日本企業のM&Aが、さらに増えることは間違いありません。今年は、大手企業や中小企業を含めると3000件を超えるのではないでしょうか。
M&Aが華々しくニュースになっていますが、実際、どれくらい成功しているかというと期待はずれのケースも多々あるようです。事業の相乗効果が出るどころか成長力を低下させてしまったり、従業員の融和ができずに社内が混乱するといった問題が起きています。一般的に50%以上のM&Aが失敗しているのではないかと言われています。買収によって価値を創出するどころか、価値を破壊してしまうリスクを伴うことも十分に覚悟しておく必要があります。失敗の2大原因は、戦略性の欠如と、M&A後の統合マネジメントの失敗にあります。合併後は、今までと違う「経営理念」「企業文化」で働いてきた社員が一緒に働くことで摩擦が生じることが問題になるのです。M&Aの成立後、社長の取り組むべき最優先課題は、企業文化を融合して新たな経営理念を浸透させていくことです。
合併新会社は、社長の信念、夢、理想、使命感、目標などを明確にして、「経営理念」「経営方針」を明文化し、現場に徹底することが何よりも重要です。また、会社の将来像はどうありたいのか、何のために存在しているのか、どうゆう目的を持って世の中に貢献するのか、どうゆうやり方で運営していくのかなど、しっかりとした基本の考えを明らかしなければなりません。M&Aの効果を最大限に発揮するためには、先ずこの「経営理念」「経営方針」を明確にすることが一番大切だと考えます。
日本電産は積極的なM&Aで有名な会社です。永守社長はM&Aを仕掛ける一番の理由は時間と技術を買うことだと言っていますが、もう一つ理由があるそうです。それは、「人が好き、会社が好き、部下が好きだから」ということです。それも世間では敗者と評価される人の闘争心に火をつけて勝者にしていく。倒れかかった会社の腐れかけた柱を新しくして立派なものに立て直す。自信とやる気を失いかけている部下を叱咤激励して夢と勇気を持たせる。このように人や会社、そして部下が大変身を遂げ、強くたくましくなっていく姿を眺めるのが、永守社長の最高の喜びであり、生きがいでもあるそうです。
このように、M&Aで成功する要因は、工場や資産が目的ではなく、人を活かすことだと言えます。「経営理念」「企業文化」「働く人の気持ち」について真剣に考えるか、そうでないかで、M&Aの成功・失敗の分かれ道になります。つまり、M&Aの真の価値は、“案件”そのものにあるのではなく、その後の融合化・モチベーションにかかっています。M&Aをする際は、「合併会社の存在意義は何なのか?」「合併会社は何を目指すのか?「どうすれば社員がイキイキ働くのか?」を十分に検討することが大切です。

お問合せ・ご相談はこちら

ご不明点などございましたら、
お電話もしくはお問合せフォームよりお気軽にご相談ください。

お電話でのお問合せはこちら

06-6228-8152

社員から尊敬され1年でバトンタッチできる経営者に育成する「後継者個別指導 鋳方塾」を運営し、二代目教育に注力!