◆第8号 2007年3月4日

不二家の不祥事から学ぶこと

 
不祥事が続いた不二家が菓子部門の生産を再開しました。「新しい不二家に生まれ変わります」という新聞広告や記者会見のメッセージを皆さんはどう受け止めましたか?
私は同族による長期ワンマン経営が、いんぺい体質など不祥事を引き起こしたと考えます。2002年の日本ハムの牛肉偽造事件、2006年のパロマ工業の湯沸器死亡事故なども同様の問題を抱えていました。不二家の創業者が「期限切れの材料を使ってお菓子を作れ!」とは決して言わなかったでしょう。子供たちに喜んでもらうために最高の品質を求めてお菓子を作っていたと思います。
しかし、長年、世襲制で経営者がどんどん変わっていくと、残念ながらそういう経営理念が現場まで伝わらず、このような事態を引き起こすまでになってしまうのでしょう。お客様のニーズやトレンドを反映して流行を取り入れた商品や店舗、メニューを開発・製造していかなければ、企業は生き残ってはいけません。しかし、いつの時代にも貫かれる経営の基本、経営理念があるはずです。不二家にとって絶対に変えてはいけないこと、貫かねばならないことは何でしょうか。それはお客さまの「安全」と「安心」、そして「信頼」です。こんな大不祥事を起こすまで気づかなかったとは・・・不二家にとって信頼を回復するには時間はかかることでしょう。
不易流行という言葉があります。これは、松尾芭蕉が「奥の細道」の旅の中で体得した俳諧の理念です。この意味は、物事には変えることのできないもの、変えてはならないものと、変えることのできるもの、変えるべきものがあるといことです。常に新しい流れをつくりながらも、基本を忘れないことの大切さは、俳諧に限らず事業や企業経営にも通じるものです。現在のような競争の激しい時代には、売上・利益至上主義に流されないで、創業の心を忘れてはならないと思います。 企業にとっての一番の「不易」といえば、この経営理念です。何のためにその企業が存在しているのか、その存在意義や使命感が企業理念のはずです。
  私は企業変革においては、2つの見極めが重要であると考えます。アメリカの神学者ラインホルト・ニーバーの言葉が大いに参考になりますから、ご紹介します。
「神よ、変えてはならないものを受け入れる冷静さと、変えるべきものを変えていく勇気と、変えることのできるものと、できないものを識別する智恵を、われらに与えたまえ」
 
変えてはならないものを受け入れる“冷静さ”、変えるべきものを変えていく“勇気”、変えてはならないものと、変えるべきものを識別する“智恵”をリーダーは持つべきです。一度、自社の変えてはならないものと、変えるべきものをじっくりと考えてみてはいかがでしょうか?

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