◆第25号2007年7月1日

コミュニケーションはテクニックではない!

 

最近、管理者セミナーで必ずといっていいほど、「部下との人間関係」に関する相談があります。上司との人間関係で悩む部下の話もよく耳にしますが、同じように、上司は部下との人間関係で悩んでいるのです。立場上、その悩みを会社では相談できずに悩んでいるというケースが多いようです。
「人間関係」の問題になると、しばしばコミュニケーション論になってしまうことが多いのですが、この問題はテクニック論や技術論では片付けてはいけないと思います。昔はよく、「ニコって笑ってポンと肩をたたき雑談する「ニコポン」が、部下の管理手法の代名詞でしたが、今では時代遅れもはなはだしいばかりか、最も嫌われるやり方かもしれません。「ニコポン上司」は部下から好感と信頼を勝ち取るどころか、部下との人間関係を悪くするばかりです。その根本原因は、人間関係を良くするテクニックとしてコミュニケーションを捉えるからです。部下に対する「愛」がない、「関心」がないままテクニックとして使うからなのではないでしょうか?「愛」があれば、「関心」があれば部下の話に耳を傾けて、もっと部下を観察することが多くなるはずです。今の上司は「業績」「成果」にばかり関心がいって、部下そのものに対して関心が薄いのです。「業績」「成果」を上げるのは部下であるという本質を忘れているように思います。
もう1点大きなギャップは、世代によって、コミュニケーションの取り方が変わってきていることです。多くの上司は、コミにケーションの取り方が、過去の延長線で、酒を飲みながら話をするノミニケーションが、部下とコミュニケーションが最も図れるものと錯覚しています。「一杯やりながら、色々と話し合おう」と言って部下を誘いますが、価値観や趣味・興味が違えば、お互いが心を開いて話し合うことは非常に難しいものです。ほとんどの上司は、部下の話をロクに聞きもせず、一方的に上司が喋りまくり、叱咤激励や説教になったりするのです。部下は嫌々付き合っていることはいざ知らず、上司の方はこれで上手くいっていると勘違いをしていることが多いのです。ここに大きなギャップが生じています。コミュニケーションのポイントは、何もノミニケーションというスタイルではなくとも、普段から部下の話を一生懸命に聞いてあげるかどうかです。まずは部下に対して、仕事でもプライベートでも「関心」を持つことから始めてください。
何度もいますが、人間関係はけっしてコミュニケーション技術の問題で片付けてはいけません。コミュニケーション理論通り、マニュアル通りにやればよいというものではないことは自明の理です。昔の「ニコポン上司」が上手くいったのは、上司と部下は師弟関係にあり、「愛」があったからです。テクニックとしてやるニコポンは、やるだけ逆効果になります。部下との人間関係をよくするためには、「愛」以外のなにものでもないと私は信じています。部下を育てよう、部下を幸せにしてあげようという「愛」があれば、その気持ちは必ず伝わります。部下は上司の奴隷でも雑用係でもありません。「愛」などというと、キレイ事のように聞こえるでしょうが、今、世の中で一番求められていることは「愛」だといっても過言ではありません。「愛」という言葉が重いようでしたら、「真心」「思いやり」「気配り」という言葉に置き換えられます。これからの時代は上司が部下に「真心」「思いやり」「気配り」を持つ時代です。これまでは部下が上司に気遣いをしてきた時代でしたから、180度発想を変えなければなりません。変革とは主権が入れ替わることを意味します。変革の時代は、上ばかりに気を遣うヒラメ上司ではこれからは生き残っていけません。目先の業績を上げるだけではなく、部下がイキイキとして働ける職場をつくり、部下一人ひとりが充実した人生が送れるよう育成していくことに上司の仕事のウェイトが移ります。部下と深い人間関係で結ばれることで、上司も豊かで楽しい人生になることでしょう。

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