欧州債務危機とわが国について
欧州債務危機がギリシャからイタリアに飛び火した。イタリアの国内総生産比でみた政府債務残高はユーロ加盟国の中ではギリシャについで多いが、財政収支はギリシャほど悪くはない。海外資金への依存度もそう高くはなかった。にもかかわらず、政治のリーダーシップの弱いのが投機筋にねらわれた大きな原因であろう。
日本はどうかと言うと、政府債務残高は国内総生産比で200%を超え、主要国の中で最悪である。財政健全化に向けた政治のリーダーシップも弱い。しかし、長期金利は安定し、財政危機も顕在化していない。これは、国内に政府債務残高をうわまわる個人金融資産の蓄積があるからである。しかし、政府はこれを急速に減らしている。貯蓄投資バランスでみても、日本の経常収支はいずれ赤字化し、財政赤字を国内資金で賄えなくなる。日本がギリシャ化するまでに残された時間は余りないであろう。