今回のデフレを克服するには
02年からの景気回復で大きな役割を果たしたのは、日銀の量的緩和だったと思う。これは無制限といって良いほどの姿勢で実施された。安い金利で円を調達して海外で運用することで、急激な円安が実現し輸出が急速に伸びた。これと中国の急成長により世界経済の急速な拡大も寄与した。しかしこれはデフレ克服のために意図したものでなく、たまたま円安が急激に進んだ結果デフレが克服されたのである。
ところで、昨年後半からの急激な需要の収縮によって、日本経済は需要不足に戻ってしまった。とりわけ問題なのは、97年から10年続いたデフレ経済に又つかまった可能性が高いことである。この度のデフレは世界的になると懸念されるので、前回のように輸出増に期待することはできない。このことはどの国にもあてはまる。
デフレ脱却の一般論としては、通貨供給の持続的増加と財政支出の拡大を組み合わせる政策が有効ということになっている。
今回、日本がデフレを脱却する手段は、結局、消費を中心にした内需で需給ギャップを埋めることだと思う。
ここで心配なのは、政治不信である。政治に期待できなければ将来の安心感を持つことができない。将来への安心感が持てなければ、人々は現在の消費を控える。そうなれば悪循環でデフレ脱却はますます困難になるであろう。