株安が経済に及ぼす影響について
株安になるとなぜ経済活動はマイナスになるのだろうか?
考えられるのは3つの要素。
第一は事業会社である。事業会社は、系列企業、取引先、上場企業などの株を所有している所が多いが、株価が取得価格を大幅に下回ると損失処理を迫られることになる。大会社であれば、自社の年金基金が運用悪化で積み立て不足になると穴埋めが必要になり、そのための負担が生じる。当然、設備投資も控えることになり、雇用や賃金の抑制要素になる。
第二は、金融機関である。銀行は多くの企業の株を保有しているが、株安になると財務が悪化する。このことは、貸出余力を失うことにつながる。日経平均が7000円を割り込むと、大手行でも、連結自己資本比率が優良行の目安である10%を下回るところがでるといわれている。そうならないために、株安になると、銀行は貸し出し(リスク資産)を減らして自己資本比率を維持しようとする。これが貸し渋りである。よりひどくなると貸し剥がしにつながる。
第三は、消費者である。株安になると、消費者が持っている資産が目減りする。そうなると、家計は財布の紐を締めモノが売れなくなる。国内総生産(GDP)の50%以上を占める消費の低迷は経済全体の足を引っ張ることになる。
株価の下落が長引けば、より景気を冷やし、更なる株安を誘うことにもなりかねない。