今後の日本の一次産業に思う
昨年の原油価格の高騰も収まり、国際的な穀物価格の上昇も一段落している中で、日本の一次産業にとって好ましい環境が出てきた。その原因をいくつか挙げてみる。
1、製造業において景気悪化に伴う雇用情勢が大幅に悪くなっている
高齢化と就業人口の減少が著しい一次産業にとって、製造業から一次産業への雇用をシフトさせる好機である。
2、中国の農産物や加工食品への不信感
国内産品への需要が高まっている。世界的な日本食ブームも日本の食材への需要拡大に役立つであろう。
3、地域社会活性化として一次産業への期待
多くの地域では、一次産業を核とする「農商工の連携」による地域活性化が期待されている。又、製造業の先端技術やノウハウを一次産業に導入することにより、省力化や効率化を可能にし収入面においても改善できるであろう。
4、里山・森林・川・海と一体化して自然環境を保全・再生する
農業の多面的機能を活かし、自然環境の再生も可能になる。里山・森林・川・海などを一体化して、人と自然の共存関係を取り戻すことで一次産業の持続的な発展も可能になるであろう。
5、環境問題や資源の制約
今後は穀物だけでなく、水資源、農地、漁業、鉱物なども世界的な奪い合いの対象になっていくと懸念されている。日本は資源のない国である。将来は資源・エネルギーの国内循環型の経済を構築することが大変重要になってくるだろう。
今後は、一次産業を中核として、いかに自然環境を守り、循環型社会を構築していくのか!が重要課題である。一次産業の活性化により、自活できる国になることが求められている。その為にはまずは農業を中心とした一次産業のグランドデザインの構築が必要であろう。