三菱商事がイオンの筆頭株主に
三菱商事がイオンの発行済み株式の5%程度を取得して筆頭株主になることが決まった。イオンは今まで、小売業界でM&Aを繰り返して再編を主導してきたが、今回大手商社の出資を受けるという象徴的な資本提携により流通再編は新たなステージに入ったといえる。両者は、商品の調達や物流の効率化などで包括提携することになる。
従来、流通業は、同業同士による水平統合であった。イオンもヤオハンやマイカルなどを傘下におさめ、この10年で連結売上高を約2,2倍の5兆円にまで拡大した。しかし、人口の減少や、高齢化で市場が縮むことで、拡大路線に限界を感じたのであろう。
そこで、イオンは水平統合ではなく、国際調達網を持つ三菱商事と垂直統合の道を選んだ。海外からの食料輸入などの「川上」を得意とする商社と消費者に最も近い「川下」の小売業という構図である。
「食の安心・安全」など消費者の商品力への要求は高まる一方である。消費が低迷していく中では、販路を広げる水平統合よりも、調達力を高めて商品力を強化する垂直統合の方が時代のニーズにマッチしていると言える。
又、イオンの株価も低迷している中で、三菱商事を筆頭株主にすえ信用力を高める狙いも透けて見える。資金調達も厳しさが増す中で信用補完も今日的現象と言えそうだ。