雇用の変質について
バブル崩壊後の「失われた10年」で、日本の雇用は大きく変質した。企業は生産現場や事務の正社員を減らし、派遣や請負等の非正社員に置き換えてコストを削減した。米国の金融危機から始まった今回の景気減速局面でも、雇用の調整弁になるのは非正社員であろう。
総務省の労働力調査によると、1991年の全労働力に占める正規の職員・従業員の割合は80.2%で「失われた10年」後の2001年には、72.8%である。そして、この間の日本の完全失業率は2%台から5%台に増えただけであった。この数字は欧米よりも低い水準を維持したが、その理由は、企業が正社員を非正社員に置き換えることで、人件費を削減し競争力を維持したためである。賃金は下がり契約は不安定になったが、雇用は何とか守られたと言える。しかし、正規社員から非正規社員への置き換えは限界に近づいている。
今回の景気減速が長引けば、企業は人件費削減のために非正規雇用を絞り始めることになるだろう。これにより失業率が悪化し、日本はこれから1年以上経済が停滞していくように思える・・・。