2008年5月24日第71号
「不撓不屈」
「不撓不屈」高杉良 新潮社を読んだ。高杉氏は「小説日本興業銀行」「金融腐蝕列島」「青年社長」「再生」「小説ザ・外資」などの経済小説を書いている私の好きな作家の一人である。この「不撓不屈」も実に読み応えのある満足できる内容であった。第1章晴天の霹靂から始まり、大蔵官僚の復讐、艱難辛苦、第二の帝人事件、家族の絆、百万の援軍、深き師恩、長引く裁判まで、380ページの大著であるが一気に読んでしまうほど惹き込まれてしまった。
この小説では最初に、税務当局が「税のしるべ」という本で“著名税理士,数々の非行で近く処分、節税と称し脱税指導,関東信越局で確証掴む,賞与と旅費で利益調節”の大見出しで始まる。
著名税理士の名前は飯塚毅、彼は「全くでたらめです、私は違法行為は一切やっていない、こうなったら断固闘うしかない」と、一人の税理士が大蔵省,国税庁,検察当局の最強の国家権力を相手に正々堂々と渡り合い、、自分の信じる道を歩み、艱難辛苦の末、最後に勝利する小説である。高杉氏はその内容を克明に調べて小説にしている。
因みに飯塚毅は現在の㈱TKCの創業者である。経済人として読むに値する一冊だと思いますが…。