2008年5月17日第70号
椅子とパソコンをなくせば会社は伸びる!
「椅子とパソコンをなくせば会社は伸びる!」酒巻久著(祥伝社発行)を読んだ。坂巻氏はキャノン電子社長で、実質赤字会社だった同社を僅か6年で売上高経常利益を約10倍の高収益企業にした。どうすれば高収益を生む企業体質ができるか、そのノウハウが明かされている
1999年3月、酒巻氏はキャノンの子会社である東証一部上場の「キャノン電子」の立て直しを命じられた。同社は、主に、カメラ・ビデオカメラ用の精密部品、各種磁気ヘッドなどを作っている。当時の売上高経常利益率は1,5%、その6年後には12,8%へと8,5倍になった。その間売上高はそれほど伸びていないにも拘らず利益率は大きく伸びた。ポイントは、ムダを徹底して省き、利益の出る仕組みを作ったからである。 坂巻氏が最初に言ったことは会社の究極の目的は、「利益を出し、税金を払って社会に貢献すること」であり、それが実現できるかどうかは「人の動き」にかかっている・世界のトップレベルの高収益企業になろう・そのために全てを半分にしよう世界のトップレベルの高収益企業は、利益率が約15〜20%ある。それを実現する為には、「時間、スペース、不良品、人・物の移動時間や距離、CO2の排出量など、全てにおいてこれまでの半分にしよう。と目標を設定した。
(1)「会社の垢すり」を行なうこと会社のムダを徹底して削ぎ落とせば、多くの会社は黒字化し利益も増える。常に垢すりを心がけることが経営の要であり、経営者の最も大切な仕事である
(2)利益の出る仕組みを作ること
①赤字会社は人の動きが悪い。人の動きを良くすることで利益が出るようになる。その為に経営者は、「会社の目的・目標を明確にすること」
②最初の1年は人物の観察と赤字の原因究明に徹する利益が出るように人を動かすには、まず1年間は人物の観察と赤字の原因究明に徹し、その人物が「丸投げ体質かどうか」を見極める。丸投げ体質とは、「当事者意識と」「責任感」がないことである。その後に人事異動を実施し、組織の膿を役員・管理者から一気に搾り出す
③赤字会社には規律がない。規律を整備し厳格に守らせる
④会議室から椅子を取りさり、「立ち会議」で、効率の良い会議にする
⑤会議では自分の意思のある意見を言うこと。又、資料の持ちこみと配布を禁止し効率的かつ創造的にする
⑥改革の目的は明確にするが、改革の手段は社員の自主性を尊重し自分たちで考えさせる
⑦パソコンで遊んでいる時間をなくす。その為に定期的に社員の操作履歴をチェックする等など…。
そして、「常に垢すりを心がけること!」と締めくくられている ごもっとも!…。ムダを徹底的に省き、利益の出る体質にすることは非常に大事であるが、社員のやる気を引きだす方法や、もっと売上を上げる施策など、前向きの利益の出る仕組みがあればもっと良かったのに・・・。