◆第50号2007年12月23日

意味のない営業日報はやめなさい!

 
 先日、顧問先の社長から「業績が悪いので、営業マンのスキルアップの研修をお願いできないでしょうか」と相談を受けました。この会社には業績を上げる仕組みがまったくなく、営業マンの個人プレーに頼っていました。営業マネジャーは、営業マンの足りない業績をカバーするために駆けずり回っているという有様です。この会社の営業マネジャーは営業マンとして業績を上げてきたことが評価され、マネジャーに抜擢されており、プレーヤーとして優秀であった営業マンでした。このような個人プレーが得意だったマネジャーは、営業マンのスキルは自分で身につけるものだと信じています。上司から教えられた経験もないし、教え方すら知りません。優秀な営業マンであった営業マネジャーほど、なぜ営業マンができないのか理由もわからないし、業績の上がらない営業マンの気持ちすら理解できないものです。
野球やサッカーでも、優秀な選手が必ずしも名監督になれるわけでないのと同じで、営業マンと営業マネジャーでは求められる能力が大きく違います。モノが売れない時代は、マネジャーに求められるものは、営業マンを個人プレイではなくチームプレイで業績を上げていく仕組みをつくることです。
では、営業マネジャーの最もはじめに取り組むべき役割とは何でしょうか?営業マネジャーの本来の仕事は、部下をやる気にさせてチーム全体を管理し、目標を達成することです。営業の業績は、「営業量×営業能力」で決まります。営業活動は、ムダな時間が大変多いです。まずは、スキル研修をする前に、このムダをなくし、持っている能力をターゲット顧客に集中させる仕組みをつくることです。ムダをなくすためには次の4つのことにまず取り組んでください。
 
①サボりを減らす ②ダラダラ会議をやめる ③移動時間を効率化する ④営業日報をやめる
 
この中で一番のムダは、書かせることが目的になってしまった形骸化した営業日報です。あなたの会社は、営業日報を何のために書かせているでしょうか?
ムダな営業日報は生産性を落とすだけです。言い換えれば何の役にも立たない、ただ書かせているだけの営業日報であれば、書かないほうが営業の生産性が上がることが多いのです。私は、意味のない営業日報を書かせるのであれば、日報をやめて、毎日営業マンからのヒアリングを行うように指導しております。営業日報は、マネジャーがしっかり見ていないと、営業マンにとっては不都合な報告や行動をごまかして報告することになりかねません。それどころか、営業マンの貴重な営業量(仕事時間)を奪っています。営業日報を書いている時間は、営業マネジャーにとっても営業マンにとっても「仕事をしている」と錯覚させています。成果を生む内容になっていなくても・・・。それどころか嘘やごまかしが含まれていることも多々あるのです。マネジャーが「状況把握のために、できるだけ詳しく書いてくれ」と要望すればするほど、作文になってしまい、時間をとられ、営業量がどんどん減っていきます。
例えば、進捗状況欄に、「受注決定」「見込みあり」「検討中」「提案中」「新規商談」「見込みなし」「対象外」・・・などが書かれてあったとします。これらは営業マンが自分の判断でお客様の反応と商談状況を記載しています。しかし、楽観的な部下と貴重な部下では明らかにそのモノサシは変わります。楽観的な部下は「見込みあり」としても、慎重な部下は「検討中」とするかもしれません。このように営業日報は部下にもマネジャーにも時間的、精神的な負担をかける割には、信頼できる情報が集まりにくいのです。労多して実りが少なく、本来ならば作戦を立てるべき情報源となるべき営業日報が結果として時間だけがかかってしまう意味のないものになってしまいます。
そこで、営業日報の代わりに毎日ヒアリングをするのです。「報・連・相」についても良い報告はしてくれますが、悪い内容は自分で何とかしようとして自発的に報告しない傾向があります。営業マンからの「報・連・相」を頼っていては、リスクを発見することは難しいのです。マネジャーの側から積極的に営業マンに対して話かけ、営業マンから「報・連・相」すべき情報を吸い上げるのです。マネジャーが営業マンの顔を見ながら「ヒアリング」することで、本当のことを報告する職場環境をつくりだすことができるのです。このヒアリングで最も重要なことは、「ベクトル合わせ」です。会社の理念やビジョン、方針、価値観などを共有することを忘れてはいけません。毎日、営業マンとヒアリングをし、コミュニケーションをとり、理念や方針を浸透することだけで営業の業績は上がります。

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