◆第49号2007年12月16日

利益感覚をもつために幹部・管理者はなにをなすべきか?

 
先日、顧問先の幹部に、「100円で仕入れた商品を140円で販売したときの粗利益率はいくらですか」と質問したところ、「40%」という答えが返ってきました。正解は28.57%(40円÷140円×100円)です。最近、このように数字に弱い幹部・管理者が多いことに、驚かされます。幹部・管理者の役割は、部下を育成することや売上を上げることも大切ですが、ヒト・モノ・カネという経営資源を使ってきちんと利益を出し業績を上げることです。利益感覚のない幹部・管理者の多くは、売上さえ上げればいいと考え、安易な割引をしたり、気がつけば過剰なコストがかかってしまったりすることがあります。会社の利益は、現場の幹部・管理者の能力で決定するといっても過言ではありません。しかし、多くの幹部・管理者は、売上の数字からの発想に陥ってしまって、利益から逆算しないため、必要利益を稼ぐことができないのではないでしょうか。
特に、幹部・管理者は、利益に対する感覚を鍛えなくてはなりません。幹部・管理者は数字で考え、数字で意見を言い、さらに、仕事のプロセスを数字化して現場の見える化を図るなど、計数管理に取り組んでこそ利益を出し続けることができるのです。私が幹部・管理者に売上高・粗利益率・固定費の数字だけを指導しただけで、利益が数倍に伸びることもあるのです。多くの幹部・管理者は会社に長く勤めると、役割分担が明確になり、自分の仕事の範囲内だけで成果を上げることに取り組んでしまいます。サプライチェーンや利益を出す仕組みを理解しないまま、狭い発想で仕事をするため、利益の感覚が身につかないまま幹部・管理者になってしまうことが多いのです。
 
売上・粗利益率と固定費の額の数字がわかるだけで、利益の出し方が見えてくるのです。会社にとって、売価をいくらにするか(粗利益率をいくらにするか?)は大変重要な戦略です。実際はこの粗利益率を独自で決めるわけにはいけません。業界の慣習、ブランド力、デザイン、機能、品質、アフターサービス、さらには全くの新商品かどうかなど、お客様のニーズによって異なってきます。そこで、競争価格を調べ、その予定価格で売れるかどうかを検討し、それらに基づいて仕入価格を決め、仕入先と交渉しなければなりません。仕入先はできるだけ多くの利益を得ようとしますし、自社もできるだけ安く仕入れなければ売価が高くなります。自社と他社とを比較し、これで売れるのか、かつ利益が得られるのかを、よく検討しなければなりません。この時、利益感覚が鋭くなければこれで良いのか悪いのか、自社がどういう状況にあるのかも分からなくなります。幹部・管理者として利益感覚が大いに発揮される場面です。
 
このように、幹部・管理者は担当している事業の利益感覚を磨き、利益を出し続ける仕組みづくりをし、部下の時間的コストを削減し、どのように利益を上げていけばよいのかを考えなければなりません。損益計算書や貸借対照表だけでなく、顧客・商品・人員という切り口から現場の生産性や顧客動向、商品販売の傾向などデータをつぶさに見ていくことが大切です。勘だけでやっていてはいつまでたっても利益感覚を磨くことはできません。何事も数字で押さえていく習慣が利益感覚を磨いてくれるのです。しかし、自分だけが利益感覚を身につけても利益を出せる体質はつくれません。この利益感覚を部下に教え育てていかなければなりません。さらに、部下に利益感覚だけを教えても、会社の成長には限界があります。会社の方針を十分に理解させ、人として成長できる指導が利益を出し続ける会社になる絶対条件といえます。利益感覚は一朝一夕には身につきませんが、常にデータを集めデータを見ながら、売上・利益との相関関係を見る習慣を身につけるように努力しましょう!

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