◆第48号2007年12月9日

社長の右腕幹部はこうすれば育つ!

 
 多くの社長とお話していて、自分の右腕がいないという嘆きの相談をよく受けます。私は社員が30名くらいまでは、社長一人が頑張れば何とかなると思いますが、それ以上に発展させようと思ったら信頼できる右腕幹部が1人いると考えています。それも社長と価値観・使命感・ビジョンを共有できる人、社長の気持ちを理解できる人である一方、社長とは違う特技を持った人が必要になります。実際、伸びている企業には、必ずといっていいほど社長の参謀役を務めるデキる経営幹部が存在します。三国志に登場する「諸葛孔明」は社長の望む理想的な右腕幹部と言えます。しかし、社長と同じくらい高い価値観と使命感・危機感を持って、社長よりも優れた専門性を持った右腕幹部は、なかなか育たないのが現実でしょう。
一般的に、社長と経営幹部の溝は、経営幹部と新入社員の溝よりも大きく開いているといいます。なぜこんなに溝があるのでしょうか。社長とは「自宅を担保に入れて借金をして仕事をする人」だからです。経営幹部は入社してトントン拍子に出世してきたのでしょうが、サラリーマン意識はなかなか抜けきらいものです。経営幹部は決してサラリーマンの上がりではないのです。会社が窮地に立ったときに社長と一緒に戦う覚悟がいるのです。優れた右腕幹部として、社長と共に難局を克服する牽引役となってほしい、時には社長の方針や支持の矛盾や無理に対して、社長に苦言を呈してくれるくらい会社に愛社精神を持ってほしいと社長は望んでいます。会社が求心力を保ち成長を成し遂げることが出来るかどうかは、右腕幹部の任務遂行の成否にかかっています。
明日は、東京の中央会・教育センター様の主催で、「社長を補佐する 右腕幹部の役割と実務」のセミナーをします。多くの社長は優れた右腕幹部を育てようとしていません。勝手に右腕幹部育つと思っているのか、外部から連れてくればいいと考えているのでしょうか。もちろん、他社からヘッドハンティングで右腕幹部を持ってきても、一時的には対応ができ業績も伸びますが、外部から来た人が社長の理念や思いに共感・共鳴して仕事をするでしょうか?やはり、右腕幹部は社内で教育し、機会・環境をつくり、地道に育てるべきです。右腕幹部の候補として一番重視することは、社長に対して人間的に尊敬していて、愛社精神を持っているということです。社内にそのような人がいないときは、外部から将来伸びる可能性のある業界未経験の若手を採用して、地道に教育するしかありません。
 
さて、右腕幹部を育てる上で何が一番大切でしょうか?
 
社長は右腕幹部に何を求めているのでしょうか?右腕幹部は社長の要望にかなった最高の人材育成の賜物でなければなりませんが、間違ってはいけないのが、決して自分の思い通りに育てようとしてはいけないことです。右腕幹部を育てる上で一番大事なことは、その人の長所を伸ばすことです。これは、社長が伸びてほしいところを伸ばすよりも、むしろ本来持っている長所を伸ばすことのほうが理想の右腕幹部に育つのです。先に短所や欠点を治そうとしてはいけません。長所よりも先に短所を治そうとすると、人間の幅を広げる作業としては非効率となり、努力に見合った成果が上がらなくなる可能性があります。
例えば、ある経営幹部は「行動力があるけれど、あわてて失敗するクセがある」としましょう。「行動力」という長所を評価し伸ばしていけば、その長所はどんどん魅力的になり、周囲からの評価もさらに高まるはずです。しかし、「あわてグセ」という短所を、どんなに時間を掛けてなくそうとしても、せいぜい「人並み」に直せるのが関の山です。その上、人並みになったくらいでは、誰からも評価されません。長所を伸ばせば、それが短所をカバーする力にもなってくれます。「色白は七難を隠す」ということわざがある通り、他人よりも秀でる何かを持っている人は、その強烈な輝きによって、それ以外の欠点を隠してしまうことができるのです。「三つ子の魂、百まで」というように、ある程度の年齢までに身に付いた欠点というのは、努力してもなかなか抜けるものではありません。自分では克服したつもりでも、意識的に抑えているにすぎず、根本的になくなったとは言えません。その意味でも、欠点を直すという取り組みは、教育効果として低いと言えるかもしれません。むしろ長所を徹底的に伸ばすことが、合理的で効果も絶大です。右腕幹部を育てられるかどうかは、社長が経営幹部の長所を評価する眼を持ち、そこを伸ばす機会を与え、限界を突破させる社長の度量と才覚次第です。

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