◆第46号2007年11月25日

リスクマネジメントの本質は「当たり前のことを当たり前にする」こと!

 
 先日、アルゼンチン南方の南極海で乗員乗客154人を乗せた客船「MV Explorer」号が、浸水した事故がありました。このニュースを聴いたときにタイタニック号の沈没のことを思い出しました。船が沈没するぐらいの浸水がありましたが、乗客は救命ボートでなんとか脱出し、現場付近に急行した複数の船舶に救助されたそうです。タイタニック号沈没の際は約1500名の死傷者が出ましたが、今回の事故では死傷者がゼロでした。死傷者がなかったからよかったものの、安全対策・運航管理という面では、いかがなものであったかというと、疑問が残ります。浸水した原因は、海の中にある見えない氷山に衝突したそうですが、現場付近の天候は比較的良好で、見晴らしもよかったといわれております。目の前に氷山があることに気がついたとき、タイタニックは避けきれませんでした。小さな氷山でも油断せず、船の舵取りを氷山の100メートル手前でやるのか、1キロ手前でやるのかで、その危機を回避できる可能性は大きく変わってきます。この客船の船長は、天候が良く、見晴らしも良かったので、安心をしていたのでしょう。もし、視界が悪く、荒れている環境であればもっと注意をしていたのかもしれません。船長が油断をしていたことが、海の中の見えないリスクを読むことができなかったのでしょう。
 
さて、あなたの会社は将来起こりうるリスクに対する備えはあるでしょうか?
 
企業などで行われる安全管理のための教育にKY活動があります。危険の「K」と予知の「Y」で危険予知のことで、作業前にどんな危険があるかを把握してあらかじめ対策を考えておくと、事故が発生しても危険を回避できることが多くあります。しかし、近年、リスクは潜在化、複雑化、巨大化、グローバル化、スピード化してきています。阪神大震災、BSE問題やアメリカのサブプライム問題、原油の高騰、原材料の高騰など、予測できない氷山も溢れかえっています。リスクが発生し、その対応に失敗すると企業は危機に陥ります。特に最近は、内部告発など企業の中にあり、問題を起こすというより信頼を失うことのほうが大きな危機を招きます。お客様をないがしろにした企業は、雪印乳業、三菱自動車工業にはじまり、不二家、ミートホープ、赤福、NOVA、船場吉兆…など経営の危機にさらされました。
大企業であれば、リスクマネジメントシステムの構築や法務部など常設組織を持つこともできます。しかし、中小企業のリスクマネジメントには、新しいマネジメント手法は必要ありません。中小企業のリスクマネジメントとは、当たり前のことを当たり前にやる、経営理念や経営の基本を実践することです。逆に言えば、大企業でも事故や不祥事を起こす企業は、どれほど経営理念や経営の基本から離れたことをしていたか伺えます。経営とは、当たり前のことを当たり前にできるしくみをつくること、そういう人材をつくることです。ビジョンや経営方針といった地図や羅針盤は企業経営に必要でしょうが、経営理念に忠実に当たり前のことを当たり前に実行する人材を育てるための教育がもっと必要ではないでしょうか?その教育とは、経営理念の浸透、「読み・書き・そろばん」の訓練、「報・連・相」や「PDCA」の徹底です。企業のリスクどんなに複雑になっても、どんなに変化が激しくなっても、当たり前のことを当たり前にやる企業は生き残れます。なぜなら、浮利を追って、当たり前のことを当たり前にできる企業が少ないからです。

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