◆第43号2007年11月4日

感謝を忘れず謙虚な心を持つから人は成長する!

 
 プロ野球の日本シリーズで、中日ドラゴンズが日本ハムファイターズを破り、対戦成績を4勝1敗として、なんと53年ぶり2度目の日本一に輝きました。そして、日本シリーズ最高殊勲選手(MVP)は、中村紀洋選手が獲得しました。中村選手は、昨年、年棒の減額でもめてオリックスを自由契約になり、どこの球団からも煙たがられ、最悪の状態でした。その中村選手を中日ドラゴンズは、2軍戦のみ出場が可能な育成選手として、年俸は昨季の50分の1の400万円で一員にしました。この待遇を素直に受け入れられたのかどうかは分かりませんが、オリックスと契約していれば・・・と内心思っているかもしれません。中村選手は会見で、「野球小僧として初心に戻り、野球ができる喜びを感じている。早く支配下選手に上がれるよう、自分の力を出してアピールしたい」と言っており、金色に染めていた髪を、初心を忘れないよう高校球児のように短く刈り込みました。その謙虚さが1年通じて変わらなかったことで信頼を生み、努力も認められ、チャンスをつかみ、シリーズでは好打でチームを日本一に押し上げたのです。私は、中村選手が崖っぷちに追い詰められたからこそ、人間的な成長ができたのだと思います。
 オリックスを自由契約になっても腐ることなく自主トレを1人で行い、キャンプインもユニホームがないまま1人で頑張っていました。プロとして自分のやるべきことだけはやっておこうと練習に取り組んでいたところ、尊敬していた中日・落合監督から連絡を受け、テスト生という立場でキャンプに参加しました。3人の娘を持つ親として、一野球人としてこのチャンスを生かさずには男ではないと思い、泥にまみれる過酷な練習をしてきました。そのひたむきな努力が実り、開幕戦ではスタメンで起用され、お立ち台にまで立つことができました。毎日、毎日、野球ができること、ユニホームを着られることに感謝しながら、夢中で野球に打ち込んできたそうです。最後に野球の神様が、日本一という最高のご褒美を与えてくれました。中村選手は一回頂点まで登りつめた選手です。これまで傲慢さもあったでしょう。しかし、這い上がるしかない状況で、謙虚な心を取り戻し、「感謝」の気持ちを持ち続けたからこその栄誉であると思います。中村選手は感謝と言う2文字と、中日の落合監督に拾われて復活しました。ボクシングの亀田親子も、中村の復活劇は参考になることでしょう。
 
さて、皆さんは過去の実績にこだわり、「謙虚」や「感謝」の心を忘れていないでしょうか。
 
経営者、幹部の方々は、これまで一角ならぬ努力の結果、「仕事における成功」を成し遂げてきました。たしかに素晴らしい結果であるといえるでしょう。しかし、ここで注意しなければならないことがあります。それは、どんなに偉くなった、強くなったとしても、そのことに驕り昂ぶってはならないということです。中村選手が、初心の気持ちになったように、人はある程度の地位になると常に謙虚でなければなりません。仕事人の幸福の本質は、他人から「評価を得ること」への満足感であります。もちろん、自分自身が満足できる結果を得ることも大切ですが、それだけでは、ひとりよがりになってしまいます。周囲の人間からも評価されてこそ、初めて幸福感を感じるものです。
「他人による評価」こそが、真の意味での評価だと思います。自分にとっては100点満点の結果でも、世間の評価や上司の評価、お客様の満足を得られなければ、それは100点ではありません。また、仮に人並み以上の成果を上げたとしても、そこで満足して成長が止まってしまうのでは、「あいつは確かに凄いけど、現状に満足して進歩のない奴だ」と思われてしまうかもしれません。他人の評価、周囲の評価と照らし合わせ、自分がどの位置にいるのかを常に意識すること。さらには、ひとつの目標達成に満足せず、より高い山を目指し続けること。自分は、そうした終わりなき登山のまだ途中にいるにすぎないのだ、ということを自覚することが大切です。今の結果に満足せず、「自分は、まだまだ未熟だ」と謙虚になるべきなのです。
素晴らしい能力を持っている人が、それを鼻にかけず謙虚になれば、周囲からの評価が一変します。人の上に立つ立場のリーダーは、特に謙虚な気持ちを忘れてはいけません。リーダー自身が、謙虚な気持ちや行動を率先垂範すれば、それが「社風」の一つになって、反省や向上心、改革・改善意欲に満ちたチームになります。中日ドラゴンズも、中村選手の謙虚さが、「風土」を大きく変え、強いチームになったのではないでしょうか。私も常に謙虚、感謝を忘れないようにしたいものです。

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