◆第34号2007年9月2日

若手社員はなぜ会議で発言しないのか?

 
ある顧問先の会議に参加したときのことですが、全く意見を言わない若手社員がいました。会議では、上司と部下の関係があり、若手社員は言いたいことも言いにくいのでしょうか。この若手社員の上司は、威圧的な強さを誇示したい人で、常に怒っているようなしゃべり方をする人です。若手社員は、常に怒られているような気分になり、怒られるんじゃないかといつもビクビクしています。ここまでくるとパワハラとしか言いようがありません。ハラスメントが社会問題になっているにもかかわらず、この上司は自分がパワハラをしているという実感がないことに問題があります。
この若手社員は以前に「もうちょっと考えてから発言しろ!」とこの上司から叱責されてから、自分の意見を言うよりも、黙っていたほうが楽だと思い込んでしまったようです。このように若手社員の発言や発想を殺すようは言葉を「フリーズワード」といいます。「フリーズワード」のように、叱責すればするほど、叱責された若手社員には防衛本能が働くだけです。
あなたの会社にも新入社員が入社したころは元気ハツラツであったのが、しばらくすると元気がなくなって萎縮していく社員がいませんか。その要因の多くは、上司の間違ったリーダーシップにあります。今や権力を振りかざすリーダーシップではなく、若手社員の気持ちを汲み取るリーダーシップが求められています。若手社員の考え方や価値観を理解し、彼らの心の充足を得られるように支援することが大切です。特に、会議では、若手社員が臆することなく自分の意見を言うことができ、若者の発想をどんどん取り入れていかなければなりません。若手社員にとって、意見を受け入れてもらえなければ、傷つくことを避けて、気持ちに壁を作ってしまいます。それは上司が、無意識のうちに攻撃してしまっているからです。上司が自分の意見を押し付けて、若手社員を批判しているのです。若手社員を叱る時には、「相手(YOU)」を主語にした言い方をするのではなく、「私(I)」を主語にして自分がどう感じたか、相手に何を分かって欲しいのかを伝えたほうが上手く行く場合が多いものです。指示的なYOUメッセージと非指示的なIメッセージをご紹介しましょう。
 
■YOUメッセージとは
・「プロジェクト会議に出るときは、自分の意見くらい考えて来い!」
・「ダラダラ説明しないで、簡潔に言ったらどうなんだ!」
・「会議中にしゃべるな!人の意見を聞け!」
・「話しているのだから、メモぐらいしたらどうなんだ!」
■Iメッセージとは
・「このプロジェクトを成功させるために、君の若い発想を取り入れたいんだ」
・「あと10分しか時間がないんだ。みんなの意見を聞きたいから結論から聞かせてくれるかな」
・「君たちが話していると ○○君の声が聞こえないので困るんだよ」
・「メモしないで聞いていると後で同じことを言わなければならなくなるから心配なんだ」
 
IメッセージのほうがYOUメッセージよりも相手の心に届きやすいにもかかわらず、95%以上の上司が、YOUメッセージで部下を叱責しています。YOUメッセージのコミュニケーションの特徴は、相手の行動に対して上司が怒りを伝達しているだけです。困った状況を作り出しているのは相手で、その解決を相手に求めているのです。反対に、Iメッセージは、相手を責めるのではなく、「困っているよ」というように、自分の気持ちを伝える自己開示メッセージです。Iメッセージで伝えられた部下は、上司に怒りをぶつけられたわけではないので、意見や指示を素直に聞いてくれます。上司が意識を変え、普段の職場でも若手社員とのコミュニケーションを良くすることにより、社内の雰囲気が変わり、若手社員が会議で意見を発言してくれることでしょう。明日から早速Iメッセージを使ってみてください。

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