◆第32号2007年8月19日

リーダーは社長の役割と仕事を理解していますか?

 
先日、セミナーを受講した若手リーダーの方から、メールでご相談がありました。ご相談とは、「うちの社長は売上・利益ばかり言って、理念やビジョンがないので、仕事に身が入らない。会社を辞めようと考えている」という内容でした。会社は利益を上げないと存続できないことはわかりますが、社長の創業の思いは売上や利益だったでしょうか?社長が売上・利益ばかりを追求すると部下は疲れてきます。多くの社長は経営理念やビジョンをお持ちのことと思います。その思いを社員に伝えているでしょうか?伝えていても社員がきちんと理解しているでしょうか?社長の理念やビジョンを社員全員が共有することはなかなか難しいことだと思います。社長が立派な理念を掲げていながら、お金を稼ぐこと、会社を大きくすることが目的になってしまうと、売上・利益だけを部下に要求してしまいがちになります。もはや思いや理念は二の次になって、ビジョンが数字だけの目標に成り下がってしまいます。ある意味では、理念やビジョンのために、売上・利益を犠牲にする覚悟を持つべきです。売上・利益より重要なものは何か?このことは最近の不祥事からもうかがえると思います。
私は、会社経営には理念やビジョンの浸透が最も大切だと考えています。この会社は何の為に存在するのかということを常日頃から念頭に置き、社長自らが経営理念やビジョンを社員に語り続け、浸透させなければなりません。この若手リーダーが言うように、一番の問題は社長にあるのかもしれません。しかし、この若手リーダーの考え方にも問題があります。経営理念やビジョンを社長が語らないので、会社を辞めたくなる気持ちは分かりますが、この若手リーダーは社長の立場や会社の現状をどれほど理解しているのでしょうか。社長には全ての責任がのしかかってきます。社長の意思決定一つで会社の命運が分かれるといっても過言ではありません。故に孤独なのです。社長にとって一番重要な仕事は、決断することです。「決定」は、数ある選択の中から選べばよいのですが、「決断」は答えのないことに対して信じて決すると言うことです。そのためには、「見えない世界を見通す力」と「こうなりたいという強烈な願望」が必要になってきます。社長がビジョンを健全に語るためには、目先の売上や利益が上がっていることが前提なのです。資金的な余裕がなくなってしまうと、事業の目的がお金儲けになってしまいます。社長も一人の人間です。時には判断に迷い、誤り、間違えることもあります。ですから、若手リーダーが社長に理念やビジョンがないと嘆く前に、社長の期待に応えているのか、利益を上げることができているのか反省してみることです。リーダーに期待されることは、社長の分身となって「利益を上げる仕組みづくり」を支えることです。リーダーは社長の人間性にほれ込んで、社長の仕事を理解した上で、社長を補佐していく姿勢を持ってもらいたいものです。ご参考までに社長の役割と仕事を見ておきましょう。社長の役割は大きく3つあると考えています。
①現実と未来を見つめること
②打ち手を考えること
③責任を取ること
その上で、社長には6つの仕事があります。
①利益をあげる仕組みをつくり続けること
②経営理念や経営方針を策定し、それを徹底させ続けていくこと
③より良い方向へ変化し続けていくこと
④色々な問題を乗り越え続けていくこと
⑤仕事を通して社員を成長させ、会社を発展させ、強くし続けていくこと
⑥社員には最高の満足を与え、お客様には最大の信頼を得るために努力し続けていくこと
そのことは、私の新著「社長に好かれるリーダーになれ!」をお読みいただくと詳しく書いていますので、ぜひご参考にしてください。
この若手社員には「社長を責める前に、あなたはどれだけのことをしたのか考えなさい。人を責めても何も変わることはありません。あなたが変わればすべてが変わるのです」ということを伝えました。そして、「社長の気持ちを理解し、社長のブレーンとなって会社のビジョンを一緒に作り、会社を成長させていきなさい」とアドバイスしました。

お問合せ・ご相談はこちら

ご不明点などございましたら、
お電話もしくはお問合せフォームよりお気軽にご相談ください。

お電話でのお問合せはこちら

06-6228-8152

社員から尊敬され1年でバトンタッチできる経営者に育成する「後継者個別指導 鋳方塾」を運営し、二代目教育に注力!