◆第25号2007年7月8日

あなたは社長に苦言を呈することができるか?

 
最近、急成長した新興企業の不祥事が目に付きます。東横イン、アパホテル、コムスン、NOVA、ブックオフ、フルキャスト・・・いずれもその業界で急成長した企業です。これらの企業はつい最近まで頑張っているいい会社と評価されていたから残念でなりません。そして、ミートホープの偽装問題も、雪印、日本ハム、不二家につづき、大きな衝撃でした。これらの不祥事はワンマン経営者が、独自の経営手法で強引に売上拡大していく体質に大きな落とし穴があります。少し前の、ライブドア・村上ファンドなどと同じ過ちです。会社案内やホームページに、素晴らしい経営理念や志を掲げているのにも関わらず、お金儲けが目的になり、お客様を騙してしまうのです。お客様ありきの商売の本質を忘れ、「企業価値」、「時価総額」「利益至上主義」を意識する金儲け主義が一人歩きをしているのです。突き詰めれば、経営者の「モラルの欠如」が最も大きな原因ですが、組織としてコンプライアンスや企業倫理、CSR(企業の社会的責任)など、危機管理も完全に欠如しています。
企業が成長していく過程で、ワンマン経営者の存在が必要ですが、逆にワンマン経営が仇となることもよくあります。組織が大きくなってからは、イエスマンではなく、苦言を言ってくれる人が最も必要であるにもかかわらず、苦言を呈する側近の進言が疎ましくなる。よいことしか言わない側近に囲まれているうちに、自分がいつしか「裸の王様」になっていることに気がつかなくなってしまうのです。
多くの場合、ワンマン経営者に苦言を言える人はいません。経営者は都合のいいイエスマンばかりをはびこらせるのではなく、自分とは異質の人、違う意見の人、ブレーキを踏んでくれる人、叱ってくれる人を側近に置かなければいけません。いつも自分が正しいとは限らないのです。苦言を言ってくれる人に耳を傾けるかどうかで、ワンマン経営者が本当の意味で「尊敬される偉大な経営者」となれるかどうかが決まるでしょう。
さて、経営者が意思決定をするとき、どのような基準でしているでしょうか?経営者の意思決定チェックリストを書いてみました。経営者は自分が出来ているかチェックし、経営者でない人は、自分の会社の経営者が正しい経営をしているかどうかをチェックしてみてください。
 
1.創業の精神、経営理念、事業目的に即して考えているか?
  2.社会への貢献、責任を考えているか?
  3.私利私欲に偏った意思決定をしていないか?
  4.常にお客様の満足を考えているか?
  5.将来のビジョンの布石になる意思決定をしているか?
  6.これまでの慣行や、既成概念や体験にとらわれていないか?
  7.幹部や社員の意見や提案に素直に耳を傾けているか?
  8.自社の経営資源の強みを活用しているか?
  9.情報を自社で活用しやすいように加工して使っているか?
 10.意思決定後に、他の有力案ができたときには、柔軟に対応しているか?
 
特に、中小企業の経営者は、人生を賭けて会社を経営しています。しかし、会社は経営者ひとりで成り立っているものではありません。幹部の立場から、客観的に判断し、経営者の考え方や指示が間違っているときは、従順にしたがってはいけません。特に、違法行為や反社会的行為に発展するときには、幹部も人生を賭けるつもりで、経営者と真正面から向き合い、間違っている方向を正すべきです。それが幹部の最も重要な任務ではないでしょうか。

お問合せ・ご相談はこちら

ご不明点などございましたら、
お電話もしくはお問合せフォームよりお気軽にご相談ください。

お電話でのお問合せはこちら

06-6228-8152

社員から尊敬され1年でバトンタッチできる経営者に育成する「後継者個別指導 鋳方塾」を運営し、二代目教育に注力!